第22話 空間狭間Xとは
僕は家に向かい水道橋駅を目指したが気が変わった。ここからはバスが近い。電車をやめて文京区役所のバス停を目指した。頭を整理する。Bはソトカワ君。普通の頭の良い高校中退の人間だった。そのソトカワ君のPC仮想世界はXに乗っとられた。Xは人間界、境界線、そして最強の“京”の世界を支配しようとしている。Xは空間狭間の住人。人間?の可能性もある。しかし“菜”が境界線人だと知っていた。境界線人の可能性もある。しかし境界線人が自分の世界を攻撃するとは考えにくい。空間狭間X。Xの目的は、この3世界を支配すること?Xを見つけなければ。まあ、PC界はソトカワ君の得意分野だ。「仮想世界ゲームは、途中放棄のままです。僕が本気を出せば、すぐ、突き止めらますよ。」と言っていた。そこは、ソヨカワ君に任せることにする。一度あっただけだが、彼は信用がおける人物だ。僕の脳内が判断する。僕は僕の能力で、X を捕まえることにする。なずなとの約束だ。脳内であれこれ考えながら僕は歩いた。夜に近づくこの時間帯、僕は以外と好きだ。すれ違いの人間の疲れた顔と脳内の解放されたギャップがおもしろい。僕の悪趣味の能力だ。しかし、よく考えてみるとおかしなものだ。僕はたった一度だけ会った“菜”に会いたいだけなのに。軽い気持ちが、どんどん違う方向に向かっていっている。自分の意思とは違う、目に見えない何かに操られて深く、絡み合う糸のように時間を過ごしている。冷静な大人の脳内の僕が僕のこの状況を解析する。たぶん僕は普通の人間より最強だ。しかしなにもできない。欲しいものは、願いはたった一つだけ。“菜”と会いたいだけなのに。それさえもできない。人間でも異世界の”京“の僕でさえ、もどかしいのは同じなのだと当たり前のことを痛感する。”無力だ。“ 身体の中心に丸く空っぽ の風船があるようだ。曖昧な僕の身体。“菜”と出会った時のあの時の僕を今の僕は探している。もうすぐバス停だ。僕はバスをやり過ごした。“歩こう”僕はバス停を越えた。瞬間空気が変わった。会社帰りの人達とすれ違う。目の前の坂を通る道を選ぶ。信号待ち。“ナダさん僕は捕まえられませんよ。」僕の脳内に男の声が響く。”X “だ。僕はあたりを見回した。信号が青に変わる。“いない。”僕の身体に軽い電磁波が走る。
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