第23話 Xとの接触

坂道を歩く。Xの声が脳内に残る。僕に直接、接触してくる。Xは人間ではない。僕は能力を解放。バス停を過ぎたあたりからXのテレトリーに入ってしまったようだ。Xの声がまた聞こえる。「ナダ君、ナダワタル君、ようこそ我が世界へ。夜に向かうダークの空がますます、漆黒と変わり、さっきまでいた人達は、誰もいなくなった。時間が止まったようだ。正しくは、空間自体が変わった。「ようこそ、空間狭間へ。ナダワタル君。」1人の少年が僕のもの前に現れた。年齢は高校生ぐらいか?「君はX だね。」「そうです。僕がXです。」「なぜソトカワ君の作ったゲーム、仮想世界を乗っとったんだ。それに境界線の世界も攻撃している。君はいったいないが、したいんだ。」「僕ですか?僕は全ての世界を支配したい。ただ、それだけですよ。」「君は人間?」「違いますよ。」「境界線人?」「違うますよ。お兄さん。」「えっ、お兄さん?僕が?」「そうです。母違いですが、お兄さんは先代の妃の子。僕は今の妃の子供です。お兄さん達は、人間界に転生してしまった。その後のことは知らないですよね。”京“については。国王は、父は、先代の妃、つまりお兄さんのお母様を愛しすぎた。人間界に転生後も国王は度々、人間界に行き、君達を見守っていたようだ。シュガーロードで財を成したのも国王の力のようですよ。」「そんな話は、母から聞いたことがない。ただ、亡くなる前に僕の本当の名前が“京”だとは言っていたが。」Xは「彼女は人間界では能力を使うことなく、普通の人間になるよう努めていたと聞いています。」「そうだな。母は、普通の人間の母だった。特に変わったこともなく平凡だった。僕には人間界で父がいたが、あまり記憶がない。物静かな良い父だったが。」Xは「それはそうです。国王はお兄さんの人間の父に嫉妬していました。“京”に帰還するなり“京”お兄さんの記憶操作したと言っていた。たぶん良い思い出を操作して消去していたのだと思う。そして僕はそんな国王が人間界まで行っていることが、お兄さんの存在自体、妬ましかった。僕は、お兄さん自体を消去したかった。こんな気持ち、お兄さんには分かりませんよね。」僕は妙だが少しうれしかった。今迄、控えめに生きて来た僕が、弟がいてまだあったことのない国王、父に愛されていた。「X、君は僕の弟だ。名前を名前を教えてくれ。」「いいですよ。僕の名前は“カイ“です。」「カイ?」「そうです人間的な名前です。お兄さん、僕が“京”を含めこの3世界全てを支配したい気持ちがわかりましたか?僕は国王、父を踏みつけたいのです。僕の存在を僕の力を国王にみせつけたいのです。」「カイ、わかった。僕は今日からナダワタルではなく“キョウ”と名乗るよ。」「お兄さん、話せて良かったです。僕はこれからまだやることがあります。時間がありません。行かなければ。」「カイ、待て。」「境界線の世界が、僕のものになりそうです。もうすぐ境界線は破滅します。境界線の生け贄“菜”を僕は見つけました。漆黒の闇が僕を呼んでいます。後戻りはできません。」「カイ。」カイは闇に消えた。大学横の坂道。「ザワザワ 」行き交う人々の声が聞こえ出す。人間界の時空に僕は戻った。

“菜”が危ない。僕は向きを変え坂道を下り壱岐坂へ。『間にあってくれ“菜”今行く。』



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