第36話 伝説なんですか
¥10,000円
鎧のヨロイ屋
ナイトさん?ウチの製品を宣伝してくださったのですね!
「ン?ナンノハナシ?」
ダンジョンを歩いていたら突然のスパチャに驚く。
¥10,000円
鎧のヨロイ屋
ナイトさんが今装備しているのはウチの製品です。ダンジョンができてからヨロイが全然売れなくて困っていたのですが、ナイトさんが着用して宣伝してくださっているので、最近売上が大きく伸びたんですよ!
「ヘェ」
知らなかった。
宣伝とか言われるくらい影響力あるのかな?俺って。
分かんないけど。
「ヨカッタナ」
¥10,000円
鎧のヨロイ屋
もうそろそろ鎧の方は廃業かなって思ってたんですけどまだ続けられそうです!
宣伝ありがとうございます!これからも頑張ってください!
このスパチャはそういう感謝の意味を込めたものらしい。
実感無いけど、と思ってたら。
"この鎧フリマサイトに出てるんだなwww"
"え?まじ?"
"中古で3万円とかになってるwww"
"たかっwww"
"新品15万円wwwしかも売れてるwww"
"二千円じゃなかったのかよwww"
"ちょっと錬金術してくるわwww"
というふうにチャットは盛り上がりを見せてるような感じ。
"二千円の鎧が15万てwww影響力やばすぎwww"
"もう、インフルエンサーだろこれ"
んで、俺のほうはダンジョンを歩いていると。
またスパチャ。
¥5,000円
時計屋さん
コメント失礼しますナイトさん。
腕時計とか興味ありませんか?
活躍中のナイトさんにお送りしたいと思っておりまして
"案件www"
"案件きてるwww"
"ついに案件来るようになっちゃったかぁwww"
コメントがどんどん更新されていく。
「キョウミナイ」
悪いけどね。
だいたい俺鎧着てて腕時計付けるところには、
"断るのかー"
"まぁ、いいんじゃない?俺らナイト見に来てるんであって企業の商品見に来てるわけじゃないからな"
"たしかになー。こういうの受けてどんどん宣伝だらけになったら、つまんなくなりそう"
"甲冑が商品レビューしてる姿想像して草生えたwww"
"甲冑「コノカレーガオイシインデスゥ」"
"やめといて正解だわこりゃwww"
"やられたら萎えるわこれwww"
"てか飯食うのこいつ?"
"前にハンバーガー好きって答えてただろうが"
"ナイト?どこのハンバーガーが好きなの?株買ってくるわ"
"これは買っといたほうがいいやろなぁ"
「マクロナルロ」
ただの安いチェーンのハンバーガーだけど。
それ以外食べたことないし。
"めっちゃ庶民的じゃんwww"
"スパチャとかでお金ありそうなのに、そこなのかwww"
"ファーwww"
"庶民派配信者"
"クーポンとか使ってそう"
「ツカッテル」
"甲冑「114バンクダサイ」"
"甲冑が列並んでクーポンで買い物するの面白すぎだろwww"
"でも、さすがに注文する時は甲冑外すんだろ?"
"そういえば、前回の配信でハンバーガー好きって言ったから、ハンバーガー屋で並ぶナイトの絵が量産されてたなぁ"
"ワロタwww"
"人間の中に混じる甲冑の姿想像して腹筋捻れたわwww"
そう答えながら歩いていると話題が変わった。
"さっきから気になってたけど今日は、同行者いるよね?"
"やっぱ?配信にいっさい映らないから気のせいかと思ってたけど、足音おかしいもんな?"
"やっぱそうか。2人分聞こえるもんな足音"
「イルケドイナイ」
配信に映らないし、しゃしゃり出てこない。
とりあえず着いてくるだけ、と言ってたのでリスナーにもそうしてもらいたい。
俺もニーナには極力触らないようにするし。
まぁ、もし仮に映ってもニーナは
てか、なんで般若?怖いよ、この子。
「キニシナクテイイ」
"とは言われても気になるんだよなぁ"
"誰?このダンジョンに入るだけの実力を持ってるってことだもんな"
"日本の冒険者でここに入れるのなんて両手で足りるよな?"
俺もそういったコメントには、それ以上触らないように歩いていく。
ニーナもここまでずーっと無言だ。
ほんとにしゃしゃり出てくるつもりはないんだろう。
(目的は俺の監視、というか調査なんだろうけど、こんなことでなにが分かるんだろうな)
ま、俺にはやれることをやるしかないよな。
そうして歩いていても。
雑魚が見当たらない。
変だよなぁ。
「ザコガイナイナ」
"そういうタイプなんでは?"
まぁ。そういうパターンも割とあるけどさ。
でもそういうパターンのダンジョンってさ。
ボスが強えんすわ。
強えんすわ、ボスが。
やだなぁ。
そうして歩いてると、目の前に扉。
"ボス部屋キタ━(゚∀゚)━!"
"ボスの特定はよ!"
コメントが更新されていくので俺は扉に手を当てて少しだけ中を覗いて見た。
そこにいたのは。
(なんだあれ)
ウィーン。
ドローンも微かな音を鳴らしながら中を撮影。
"ヤマタノオロチ?"
"っぽいよなぁ。さすがオノコロ島。日本っぽいモンスターが出てくるんやね"
端末に目を戻す。
そこにはこうあった。
ヤマタノオロチ
1/1
(ヤマタノオロチで確定か)
"作戦ターイム"
"どうやって倒すねん?"
"セオリー通りお願いします"
"先に言っておかないと突撃して一瞬で終わらせそうだもんなぁ"
"てか、今までどの冒険者もここのヤマタノオロチを倒せずに詰まってたんだろ?そう考えたら一瞬で終わるようなボスでもない気がするけど"
"首8本?だもんなぁ"
"近付けるのか?あれ"
考える。
たしかにリーチは長いけど。
何とかなるでしょ。
そう思って俺は中に入ろうとしたけど、ニーナがその時ヒトコトだけ口を開いた。
「キツそうなら援護はするから」
"女の声?!"
"ドローンくん顔映せって!"
"この声は絶対かわいいから!俺が保証する!"
"お前に保証されることになんの意味があるんだ?"
コメント欄に答えたわけじゃないと思うけど、多分声で反応したんだろう。
ドローンが向きを変えてニーナを映すと。
"般若www"
"こええwww"
"鎧の次は般若かよwww"
"チェンジで"
"ヤマタノオロチ「なんか、やべぇ奴らに絡まれてる件」"
"ヤマタノオロチくんは泣いていいよ。騎士と般若が目の前に来たら有り金全部置いて逃げるわ"
"893かな?"
"893すらハダシで逃げ出すわ"
"てか同接やべぇことになってんなwww100万?!"
チラッ。
同接見てみたらたしかに100万を超えていた。
"何が起きてんの?"
"深奥ですら超えてなかったのに?深奥以上に見る価値あんのか?"
"日本最高難易度ってのがなんかあんの?"
"てか外国からのコメントめっちゃ増えてるよ。海外から見てる人がかなりいるみたい"
そんなチャットの流れになった時ニーナが口を開いた。
「みんな君に注目してるんだよナイト。もう日本のナイトじゃなくて世界に通用するようになってる」
それから続けた。
「日本は周回遅れだから、知らないかもだけどさ。海外では固有ダンジョンと呼ばれる国ごとの固有ダンジョン、この先にさ。新たな発見があるんじゃないかって言われてるんだよ」
新たな発見?
そう思ってると。
「この先になにがあるのかは誰も知らない。君がそれを世界で最初に知ることになり、この配信を見てる人が次に知ることになる」
だから、これだけ注目されてるってことなのか。
気が早すぎませんか???????
まだ第一層のボスなんですけど??????
「固有ダンジョンはまだどこの国も攻略できていない。つまり君がここを攻略出来れば、また新たな伝説が生まれる。名実共に君は世界トップに立てる。それってさ、すごくワクワクしない?」
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