エピローグ
元の世界に戻ると、私は病院の一室にいた。お母さんの言うことによると、私が人狼ゲームをやっていた間、この世界では意識がなくなっていたらしい。
翌日、学校に行くと、当たり前だが、唯愛ちゃんと由香ちゃんはいなかった。そのかわり、「月江由香」と「雪村唯愛」という同姓同名でも顔や性格が全く違う2人がいた。
仕方ないから今はその2人と学校生活を送っている。
私は、今だんだん感情を取り戻しつつある。話していると自然に笑みが浮かぶ。唯愛ちゃんと由香ちゃんのことを思い出すと涙が溢れる。
「ゲーム」という単語を聞くと、気持ち悪くなってしまうことがあったりはするが、平穏が戻ってきた。これでもうあんなことを体験しなくでもいいんだ────そんな考えは甘かった。
取り戻した「平和」は、今日、また私から奪われた。
朝。教室に入る。
「おはよ。」
「おはよー!明菜。ちょっと来て来て。」
「ん?」
「雪村唯愛」が私を呼んだ。見ると片手にスマホが握られている。
───この光景、見たことある。
胸騒ぎがする。何でだろう?こんなこと前にもあったような………。
「明菜?顔色悪いよ?大丈夫?」
「月江由香」が心配そうに私の顔を覗き込んだ。
「大丈夫大丈夫!」
そう誤魔化して「雪村唯愛」が握っているスマホを覗き込む。
「これ、やろーよ!」
「あ…………。」
そうだ。これはアレを始めたときと似てるんだ。手がガクガクと震えだす。目の前がだんだん真っ暗になってくる。何の音も聞こえない。暗闇に堕ちる。
「雪村唯愛」のスマホが表示している文字には、
『人狼ゲーム』
そうかかれていた。
人狼ゲーム なつふゆ @natuhuyu
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