第10話
ここ数日、彼は帰ってこない…。
梨花は不安で仕方ない…。
店に連絡もせずに休みが続いている…。
家にあった食糧も食べ尽くし無くなると買い出しにも行かず、自分も食べず、樹にも食事をさせない…。
だるくて、樹とふたりぐったり寝ていた…。
何も食べずに4日程過ぎた頃に、金が無くなった彼が帰って来た…。
「おかえり」
彼は黙って梨花の財布を開く…。
仕事に出て、その日に売り上げから日当のお金を貰う風俗嬢は休めば収入は無い…。
1週間も休んでいた梨花の財布には、ほんの僅かなお金しか入ってなかった…。
「なんだ、これっぽっちか…」
「だってあんたが帰って来ないから、店を休んでずっと待っていたから…」
梨花は彼が帰って来て少し安心したのか、彼に甘えた…。
「なら、今から店に行って稼いで来い」
「待っててくれる?」
「判ったから早く行けよ」
梨花は化粧道具を持って仕事へ行った…。
梨花が出掛け樹とふたりになると、ぐったり横たわる樹を見て彼は言った…。
「なんだお前、臭えな…風呂へ入れ」
樹は動けない…。
言う事を聞かない樹に腹を立て、彼は樹の肩を掴み、服のまま浴室へ連れて行き、そのままシャワーをかけた…。
ぐったり横たわる樹の頭から足の先までシャワーをかけた…。
「身体を洗えるまでそこから出るな!」
そう樹に怒鳴り彼は部屋に戻り寝てしまう…。
樹は動けずぐったりとしたまま…。
服ごと濡れたままで横たわったまま…。
彼は目が覚めても浴室に樹を閉じ込めたまま、いや閉じ込めたことすら忘れていた…。
彼はふらりと出掛け、持っていた小銭でチキンとビールを買って戻り、ひとりで呑んで梨花の帰りを待った…。
そして深夜になり、梨花が帰って来た…。
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