第2話
風俗店で身体を張って、稼ぐ梨花は、頑張った甲斐があって、借金返済も目処が立ち、返済をしながら、貯蓄も出来るようになる…。
梨花の気持ちに余裕が出来ると、今度は
心と身体を癒やしたくなる…。
客とやるのが仕事の風俗嬢だけど、客で満たされる事は無い…。
かといって、客以外の新たな男と、知り合う為の場所も時間の余裕も無い…。
梨花は新しい男を作るのは諦らめて、お金をいっぱい稼ぐ為に、本指名をしてくれる客達の性格や好きなプレーを必死で覚え、ラインを打って営業をかけた…。
「あの本指は、気難しいから、逆らわないで、この本指は、マットを長めで…」
あれやこれやと頭を使うと、最近、頭痛や疲れが酷くなる…。
ただの疲れだから、大丈夫だと思っていたけど、何か変だ…。
深夜、帰って寝てる樹を見ても、何も感じない時がある…。
まるで樹を見ている自分を更に他から見ている様だ…。
ひとりで寂しく待たせている樹を可哀想だと思えなくなった…。
「だって、しょうがないじゃない…私が、働かなきゃ樹だって生活出来ない、でも、こんな生活に樹のせいでなったんじゃない…私が全部悪いんだ…」
梨花は、自分を責めた…。
全部、自分が悪いんだ…。
自分のせい、自分が悪い…。
樹の事は、目に入らず自分ばかりを責めている…。
こんな夜が暫く続くと、今度は気分が増々落ち込んでる…。
死にたくなり、自殺の方法をあれこれ考え、他の事は考えなくなる…。
それも過ぎると、ただ、脱力感だけが残り、結局朝まで、眠れない日が続く…。
お湯を張って、湯船に浸かると、僅かながらに眠ることが出来た…と、言うより落ちる様に寝てしまう…。
身体がずれて、顔が湯に浸かると梨花は目を開ける…。
頭痛は治らない…。
吐き気もする…。
湯から出て、店へ向かう準備をする…。
もうすでに起きて来ていた、樹にも声を掛けずに、化粧をしている…。
樹は黙って終わるのを待っている…。
化粧が終わり、服を着替え、バッグの中から、昨晩買ってきた菓子パンをテーブルの上に置くと、初めて樹は口を開く…。
「ママ…僕ね…」
「ママは忙しいから、今度聞くね…お腹が減ったら、これを食べなさい…行って来るわね…」
樹は無言で見送った…。
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