いつきの子守唄

ぐり吉たま吉

第1話


佐々木梨花(りか)と息子の樹(いつき)は、母子家庭である…。


息子の樹は、梨花が19歳の時に出産した…。


梨花の夫はギャンブル好きで、それが原因で離婚した…。


樹への養育費も支払わないで、今はどこにいるのかも判らない状態であった…。


梨花の母は、すでに亡くなっていて、父だけが実家で暮していた…。


離婚が成立し、幼い樹を連れて実家へ帰り、梨花は実家の家事をして父に生活の面倒をみて貰っていた…。


その父が、事業に失敗し、多額の借金を抱え、梨花も返済や生活の為、働きに出なくてはいけなくなる…。


パートやアルバイトの掛け持ちで朝から晩まで働いていても、父と息子の3人では、生活費だけでも苦しくて、返済分には程遠かった…。


父も当初は勤めに出て、給料を全て返済に当てていたが、老年の父では仕事が続かず、梨花は風俗で働くことになった…。


梨花は元々、自由奔放で男好きの性格だったので、街やクラブで声をかけられ、気に入った男なら、すぐについて行き、男と寝るのも厭わなかった…。


それ故、風俗で働く事に抵抗は無かったのだ…。



息子の樹は3歳児だが、大人しい子で梨花や祖父が仕事で家を空けても、ひとりで部屋で静かに待っている…。


子供がいても未だ若く、綺麗な顔立ちの梨花は、店でメキメキ人気が上がって、客がついて収入も増えた…。


すると、父は働か無くなり、酒を呑む日が続く様になる…。


頼んでも、怒っても、酒を呑んで、ついに身体を壊して、亡くなった…。


借金の返済の足しに、実家を売って、樹と2人、アパートへ引越すが、まだまた残っている借金の返済の為…イヤ…それだけでは無く、梨花は風俗嬢を辞めなかった…。


何故なら、ソープはお金が稼げる…。


何時までやれる仕事か、判らないだけに、稼げるだけ稼いで、将来、樹と自分の生活の為にお店かアパート経営をやりたかったからだ…。


「樹…ゴメンね、ママ、お仕事に行くよ…サンドイッチとミルクをお腹減ったら食べてね…遅くなるから、先に寝てて…」


「うん、ママ、お絵描きしながら待ってるよ…」

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