第51話 人間の価値は知識の量ではない

 正法眼蔵随聞記三の九その二

 「物しらぬはわろしと人も思ひ、愚人ぐにんと自らも覚ゆる事をいたまれて、ものを知らんとてひろ内外典ないげでんを学し、あまつさへ世間世俗のことをも知らんと思うて、諸事を好み学し、あるいは人にも知ったる由をもてなす、きはめめたる僻事ひがことなり。」

 ものを知らないということは悪いことだと人も思い、愚人であると自分も思うことを気にして、たくさんの内外の経典を学び、それだけでは済まなくて世間世俗のことも知ろうと思って様々なことを好んで学び、あるいは人に自分は知っているということを示す、極めて間違っていることである。

 まさにそのとおりだ。

 ものをたくさん知っていることは人間の価値とは関係ない。問題は何をするかだ。

 知識はあるけど、ろくなことをしないんじゃ話にならない。

 今の世の中、知識偏重にすぎる。知識があるだけですごいと言われ、当人も得意満面だが、つまらないことだ。

 世の中の犯罪者を見てみればいい。ろくでもない知識はたくさんあるが、悪事を働いている。困ったもんだ。

 人間の価値は知識の量ではない。くれぐれも気をつけないといけない。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る