第49話 内外ともに無益

 正法眼蔵随聞記三の八その三

 「ゆゑなく身をわろくふるまひ、あるいはまた世を執せぬとて、雨にもぬれながらゆきなんどするは、内外ないげともに無益むやくなるを、世間の人は即ち是を貴き人、世を執せぬなんどと思へるなり。」

 意味もなく身を悪ぶってみたり、あるいは世間などお構い無しだなどと雨に濡れて歩いたりするのは、外面的にも内面的にも何の価値もないのだが、世間の人はこのような人間をすごい人、世間にこだわらない人だなどと思うのである。

 こういう人間、ネット上に溢れてますなあ。わざわざ人の嫌がることをする、アウトローみたいな言動を取る、世間の人間とは違うんだぜみたいに気取るなどなど。

 内外ともに無益です。

 こんなものを評価するなんて正気の沙汰ではない。

 静かに普通に生きることに価値を見出だせないような世の中は末世だ。そんな社会は生きる価値はあるのか。そう思う今日この頃です。いやはや。

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