第48話 外相ばかりの仮令

 正法眼蔵随聞記三の八その二

 身をすて世をそむく由を以てなすは、外相計ばかり仮令けりょうなり。ただなにとなく世間の人のやうにて、内心を調へもてゆく、是れまことの道心者なり。

 身を捨てて世の中に逆らうようなことをしてなにかをしたりすることは、外面ばかりの作り物である。ただなんとなく自然に世間一般の人のようにして、内面を充実させ調える、これがまことの仏道を学ぶ人間である。

 今の世の中、人と変わったことをやったりしゃべったりして注目を浴びようとする人間がたくさんいる。また、そういう人間をすごい人間だと思う人間もたくさんいる。

 しかしそんなものに価値はない。外相ばかりの仮令だ。

 静かに普通にしていて、内面を充実させ毎日を着実に生きていくこと、そこにこそ価値がある。ぎゃあぎゃあ騒いで関心を買うのに一生懸命なんて虚しい、つまらぬことだ。

 静かに普通に生きる。そこに価値が見いだせないのでは、まさに末世としか言いようがない。

 いやはや今の世の中は。

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