第46話 本質を見失わない

 正法眼蔵随聞記三の六の二

 「当世の人、多く造像起塔等の事を仏法興隆と思へり。また非なり。たとひ高堂大観珠を磨いてこがねをのべたりとも、是れに因って得道の者あるべからず。」

 今の時代の人の多くは仏像を作ったり塔を建てたりすることが仏法を隆盛にすることだと思っている。これもまた間違っている。たとえ高く大きい堂に高価な珠を磨いて飾り黄金を敷き詰めたとしても、これによって仏道を得るものはないだろう。

 怪しげな宗教団体というのは、無駄に立派な建物やら馬鹿でかい像を置いたりしてますな。このようなことと真実・真理は関係無いのは当たり前だと思うけれど、騙される人も多いんだろう。気をつけましょう。

 ここで一つ書いておきたいのは、道元禅師はこの後、堂を建てたり仏像を作ったりすることを全否定してはいないということだ。「在家人の財宝を仏界に入れて善事をなす福分なり」とおっしゃつている。つまり在家の人の財宝を仏の世界に入れて善いことをして福となる、ということだ。

 物事は一面だけではない。色々な面を持っている。ただし、本質を見失わないことが重要だ。

 道元禅師は続けて「仏法興隆にあらざる」と念を押されている。

 多面的に考え、本質を見失わない。そうありたいもんだ。

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