第44話 生死緊縛

 正法眼蔵随聞記三の四その二

 「我が学する所多年の功を積めり、なんぞやすく捨てんとなほ心深く思ふ、即ちこの心を生死緊縛しょうじけばくの心と云ふなり。」

 自分が学んできたものは、多年の労力と積み重ねてきた結果であり、どうして簡単に捨てられようかと心深く思うこと、この心を縛り付けられてしまった不自由な心というのである。

 老害という言葉がある。長く生きて、自分では経験もあり見識もあると妄想している人間がつべこべ口を出す。そして意固地に自分の意見に固執する。生死緊縛である。素直に現実を我が身を見なさいな。できないだろうけど。

 年寄りに限らず、若い奴でも生死緊縛としか言い様のない奴がたくさんいる。ちっぽけな自分に固執すること老害老人に引けを取らない。

 固執を解き放て。生死緊縛を振りほどけ。そのためには坐禅すればよいのだ。

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