第38話 内面と外面

 正法眼蔵随聞記二の十七

 「多分は善事をなしては、かまへて人に識られんと思ひ、悪事をなしては人に知られじと思ふ。此れに依って内外ないげ不相応のこと出来いできたる。」

 多くの人間は善いことをしたらなんとかして人に知られようと思い、悪いことをしたら人に知られまいと思う。このために内面と外面が一致しないという状態になってしまう。

 今の世の中、ちょっと何かすると「すごいでしょ」と人に知られようと必死になり、都合の悪いことは隠そう隠そうとする。

 いくら外面を飾ってみても、内面の賎しさ醜さや悪事は必ず露呈する。世間で騒いでいることを見れば、このことは明らかだ。

 他人にどう見えるか、社会からどう評価されるかと外面ばかり気にしたところで、内面が伴わないなら話にならない。

 当たり前のことだけれど、当たり前のことができない世の中になってしまっている。

 いやはや、どうにもこうにも。

 真実・真理というのは当たり前のこと、普通のことなのだ。今の世の中、普通のことができなくなってしまっている。

 これからどうなりますやら。ろくなことは無さそうだ。やれやれ。

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