第26話 憎しみの連鎖

 正法眼蔵随聞記二の五その一

 「悪人不当なりと云ふとも、左右さう無く悪毀にくみそしる事なかれ」。

 間違ったことをした人間が道理から外れているとしても、むやみやたらに悪く謗ってはいけない。

 今の世の中、なにかちょっと間違うとこの世の終わりのように大騒ぎする。徹底的に悪口を言う。実に実に殺伐としている。

 間違った人間と、それを叩きまくる人間も混然一体となって、世の中を殺伐とした憎しみの溢れたものにしている。

 自分が正しいという妄想に憑りつかれた人間は冷酷で不寛容だ。このような姿勢でいれば、次々と憎しみの連鎖がずっと続いていく。

 一体どこに行こうとしているのか。何がしたいのか。人間を憎み悪口雑言を浴びせ叩きのめす。その後に何が残るのか。殺伐とした憎しみだけだ。

 いい加減にした方がよろしい。真実・真理とは何か、黙って坐禅して体得しなさい。

 「左右さう無く悪毀にくみそしる事なかれ」である。

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