第16話 そんなに持っていてどうするの?

 正法眼蔵随聞記一の十

 「無用の物、是れを貯へて何かせん」。

 人間は生きてどうしようというのか。

 私は大宇宙の真実・真理を体得するために生きるのだと思っている。生きるためには衣食住は必要だ。必要だが、生きるために必要な水準でいい。生きることができていればいい。坐禅して正法眼蔵を読み、瞬間瞬間を生きていければいい。それ以上何を望むのか。

 豪邸とか高級マンションだとか、グルメだとかなんとかかんとか、ブランド物を身につけるとか、そんなことは真実・真理を体得するためには何の役にも立たない。何の役にも立たないものは求めない。当たり前だ。

 何の役にも立たないものを手に入れようと必死になる、執着する、それで何がどうなるというのか。「貯へて何かせん」だ。

 何のために生きるのか。そのために必要なものは何か。とりあえず、今執着している者を放り捨ててみませんか。坐禅すればいいのだ。

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