第14話 自分を離れ心静かに考えよう

 正法眼蔵随聞記一の九 その二

 「すべからく先づ我れを忘れ、人の言はん事を好く聞いて、後に静かに案じて、難もあり不審もあらば、っても難じ、心得たらば遂って帰すべし。」

 必ずまずは自分というものを忘れ、離れて、人が言うことをよく聞いて、その後静かによくよく考えて、おかしいと思ったり疑問があったならば、その後におかしいのではないかと話をし、納得がいったら信じればよい。

 自分は!自分が!という観念に憑りつかれていては、他人の話を正確に聞くことはできない。国会中継など見ているとよくわかりますよね。お互い自分の「正しいと思っている妄想」を声高に叫んでいるだけで、何も進展することはない。自分の考え以外が入り込む余地がないほど頭の中は妄想で一杯になっている。

 政治家に限らず今の世の中、人の話をちゃんと聞けない人がたくさんいる。誰かが何か言うと即座にわあわあ言い出す。

 人間それぞれ色々なものを背負っている。発言の背景には色々な事情があるだろう。だから「人の言はん事を好く聞いて、後に静かに案じ」なければいけない。何でもかんでもその場で即座に決しなくていいだろう。よくよく吟味してしっかりじっくり話しましょうよ。

 今の世の中、みんなストレスにさらされて身心が過度に緊張しているのかな?だから瞬間的に発言してしまう。自分というものを、いったん離れて心静かに考えられていない。

 これは危ないと思いますがねえ。

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