第9話 黙ってじっとしてみろ

 正法眼蔵随聞記一の五 

 「学道の用心、本執ほんしゅう放下ほうげすべし。身の威儀いいぎを改むれば、心もしたがって転ずるなり」。

 仏道を学ぶとき心しておく重要なことは、持っている様々なものへの執着を投げ捨ててしまうことだ。身体で行うことの態度を改めれば、心もそのことに随って変化していくものだ。

 今の世の中、欲望への執着が凄いねえ。誰がいくら稼いでいるとか、うまいものが食いたいだとか、人に知られたいだとか、欲望に憑りつかれているとしか言いようがない。その挙句強盗のグループを作ったりする。欲望には際限がない。見境がつかなくなる。実に浅ましい、餓鬼の世界だ。文字通り「餓鬼」だね。

 一体何のために生きてるんだ?何が本当にしたいんだ?闇雲にめったやたらと言葉を発し、いろんなことをやり散らかす。おかげで世の中しっちゃかめっちゃかで騒々しくて仕方がない。

 欲に憑りつかれ、のたうち回るな。黙ってじっとしてみろ。坐禅してみろ。まず日常の態度を改めなくちゃだめだ。仏教ではぎょうじゅうという。行動する、じっとしている、座る、寝るで日常生活を表す。日常生活が大事です。

 坐禅すれば身体も心も正常な状態に落ち着く。日常生活が落ち着き、正しいものとなる。わかったような気になってしゃべったり行動したりしていあたことが妄想に過ぎなかったということがよくわかるだろう。

 坐禅しましょう。

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