第4話 今を生きるだけだ

 正法眼蔵随聞記一の二 その二

 「今生こんじょうもし学道修行せずは、いずれのしょうにか器量の物となり、不病の者とならん」。

 私の印象だけれど、道元禅師は生まれ変わる、今流行りの「転生」というようなことは信じてはおられなかったと思う。信じないというよりは考えても意味がない、しょうがないことだと思っておられたのではないかな。

 人間は今この瞬間を生きることしかできない。今この瞬間をどう生きるか、その積み重ねが生きるということだ。人生だ。

 引用した文章は「生まれ変わっていつ器量のある人間になり、病を持たないようになるというのか」と読めるけれど、これは世の中でよく言われているからこのように道元禅師はおっしゃっただけで、要は「今仏道を学ばないでどうする。人間は今この瞬間しか生きられないのだ」ということをおっしゃっているのだと思う。

 私が思うに仏教と言うのは徹底的に現実的だ。神秘的、観念的なものでは絶対にない。

 人間は今を生きるだけだ。だから今学ばねばならない。坐禅しなければならないのだ。

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