第27話 027 【幕間2】別の迷宮の2階には小さい体で跳ねまわりこちらの首を刎ねて来るという、にわかに信じがたいウサギが居るらしい

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★作者より

 今回ギャグ回なのですが文体等が通常と著しく乖離しており

 ます。 完全にキャラ崩壊してますので、普段の雰囲気が好

 きだ!という方は読み飛ばしても全然大丈夫です。


★読み飛ばす方へ

 今回はストーリーの流れには特に関係ありません。

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 俺達の地下2階の探索は順調に進んでいた。


 狼人ワーウルフ。ぐぎゃぎゃと言ってるようにしか聞こえないクセに【睡眠】の呪文を唱えている小鬼ゴブリンの魔術師。2階で手間取るのはもはやこいつらくらいだ。


 狼人は特に手強い。獣の速さと力、人の知能を合わせ持ち、何とか倒せそうな段となれば素早く逃げ出す。はっきり言って割とマジムカつく。


 先行していたカルが戻ってくる。

 狼人じゃなくせめて鼠人ワーラットであって欲しい。



「ウサギ、1匹」



 耳を疑う。

 パーティに緊張が走る。


 俺が小声で聞き返す。


「ちょっと待て、ウサギか?」


「ウサギ、距離約40エール」


 聞くところによれば別の迷宮の2階には小さい体で跳ねまわりこちらの首をねて来るという、にわかに信じがたいウサギが居るらしいが、幸運なことにこの迷宮には棲息しない。


 しない…はずである。


「本当に、ウサギか?」


 ギルが聞き返す。


「ウサギ、35エール」


 俺の横でしゃがみ込み、目を凝らすカルが淡々と返す。


「マジか」

「やっべー」

「どうする?」


「ウサギ、30エール」


 焦る前衛を他所にカルは淡々と呟く。


「ちょっと待て、ここにウサギは居ないはず」

「ウサギのわけがない」

「ウサギのはずがない」


「いや、ウサギ、白い。25エール」


 ウサギならば首を刎ねてくる。ウサギが首を刎ねるのはもはや常識だ。カルは知らないのか。


「ウサギが居るわけがない」

「ウサギであっていいはずがない」

「ウサギは居ないし、居てはならない」

「降りやまない雨など無いじゃない」


 レノスが何か言ったが皆聞かなかったことにした。


「間違いなくウサギ、20エール」



「逃げましょう!!!」



 いつも探索中は冷静なリナが、リナらしくない、大きめの声を上げる。


「何言ってんの?一匹だし多分楽勝だよ? 15エール」


「楽勝ではない」

「ウサギは楽勝ではない」

「ウザギが楽勝であってはならない」


 ウサギは楽勝ではない。首を刎ねてくる。楽勝であっていいはずがない。ウサギが首を刎ねてくるのは常識だ。


「逃げましょう!」


「ほんと楽勝だよ多分、なんで逃げるの?10エール」


「だってウサギ!!カワイイし!!殺したら可哀そう!!!」


 リナの眼は光り輝いている。本気のようだ。


「はあああ?マジで言ってんの?バカなの??」


「なによ!?バカはあんたでしょ!!」



 首を刎ねられる直前で痴話喧嘩を聞かされるのは俺達くらいだろう。



「ほら、もうすぐそこだよ!戦闘態勢取って!!5エール!」


 ペタペタと足音が聞こえてきた。

 …足音?



 暗闇から現れたそれは、ウサギのように真っ白で赤い眼をした、巨大な鼠人ワーラットだった。



「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」



リナの絶叫が響き渡り、驚いた鼠人は脱兎のごとく走り去る。



そして辺りは静寂に包まれ、闇は再び無限と成った───。

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