第11話 011 狂信者の選択4 不可解な宝箱
馬車が遺跡を囲む森を抜け入り口の小宮殿まで着く。
小宮殿内部は市民会に委託されたマイスティア冒険者協会が管理している。観光地であるため遺跡までの道や森などの安全確保をせねばならず宮殿外の警備で手一杯らしい。こうした場合俺達外部の冒険者に対し
ほぼ全ての遺跡迷宮は地上のみの構造であり基本的に屋根などは無い。元々少ない構造の上に長い年月で
予定では西の区画から中央、東と三日に分けて調査を行う。外壁が破損し内部に侵入するのは容易なため住み着いた野盗や
「では行こう」
30エールほど先の壁の上をカルが先行する。壁の高さは2.5エールほどで身軽なシーフなら上に昇り駆けるのは容易い。パーティで乗り越えられない高さではないが重い鎧に身を包んだ前衛が幾度も超え進むのは現実的ではないため基本的に通路に沿って移動することになる。
今日の予定の半分の道程を進んだ所でカルが止まり、パーティを静かに待つ。
「どうした?カル」
「なーんじゃこりゃ~だよ」
宝箱だ。
何の脈絡もなく道に落ちている。あからさま過ぎて笑えてくる。
「100%
「だろうな」
「無視するか」
「やらせてくれよ、ギル!」
カルが開錠を提案する。罠であることは間違いないが、敢えて開錠するという。ギルは少し考えたあと、
「決して無理はするなよ」
と了承した。
「開いた」
箱の開錠は
「
「罠の造りはあまり上等じゃないね、初歩的だ」
ギルが言う。
「カラではあるが、成果はあったな」
すなわち───
この遺跡に罠を置く敵対者の存在を知れたことだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます