第11話 団内の自己紹介

 任命式の後、イブさんが夢現旅団のみんなを集めてくれた。皆、団長の前だからかソワソワしている。

 

「それじゃあ、自己紹介でもする?」


 イブさんがそう提案した。


「じゃあ、俺から! ライクっていいます! 団長に任命されたけど、まだまだ分からないことが多いので、迷惑かけないように頑張ります!」


 元気に挨拶してみる。

 なんかこういう時の挨拶って、第一印象が暗いとその後に引き摺る気がするから。


「俺はタイガ。獣人族だ。まず、言っておく。ライクの団長の任命には賛成だ。ブツブツと文句ある奴も居るみたいだが、コイツは強い。俺よりな? ライク、遠慮する事ないぜ? 文句あるやつは潰せばいい。以上」


 タイガの自己紹介が終わるとみんな目を見開いて驚いている。こいつが認めたのがそんなに意外だったのか?


 タイガの奴、どんだけ強さを誇示してるのやら。皆の反応を見る限り、強さへのこだわりはかなり強い方なんだろう。そして、それを皆が知っていると。


「拙者はタツミという。竜人族だ。タイガの先輩だが、コヤツが認めると言うと相当な実力だろう。まぁ、元より反対ではない。よろしく頼む」


 拙者って言った。

 俺達からしたら日本の侍みたいな喋り方だし、腰に指してるのも脇差か?

 鱗が見えていて竜っぽい顔だ。それで、着物着てる。なんか佇まいがいい感じだ。


「我はアストロ。魔人族だ。魔法で我の右に出るものはイブ団長以外にいないという自負がある。ライク殿は魔法も使えるのですか? 獣人族の様ですが?」


「あぁ。ややこしいよな。スキルで獣人族になってるだけで、元は人族ひとぞくなんだ。だから、元に戻れば魔法も使える。ただ、今は任務のために戻れない。すまない。後で手合わせしよう」


「我はいつでも良い。よろしく頼む」


 コイツは結構癖がありそうだなぁ。

 まぁ。そのうち魔法で語れば分かってくれるだろう。実力があれば問題ないみたいだしな。


「次は、アタイね。アタイは、エルフのセーランでーす。エルフ村に居るのが飽きたから今は魔法師団で働いてまーす。魔法師団の団長が、イブ団長じゃなくなったら辞めようと思ってまーす! 宜しく!」


 これまた癖のある。

 イブ団長のことをかってるんだな。

 エルフって事は見た目は10代だけど、かなりの高齢だと思っていいな。

 生意気な事を言わないように気をつけよう。年上は敬わないと。


「ワシじゃな。ワシはドムじゃ。主に戦いではなくサポート役だな。武器を整備する役割じゃ。武器に関しての相談だったらいつでも受け付けるぞい。宜しく」


 ドワーフ。武器の作成に精通している種族だな。戦いにはほとんど出ないって聞いた気がする。ただ、戦いを好まないというだけで、戦ったら強いんだとか。


 よく考えてみたらそうだよな。日々、ハンマー振るって鉄を叩いているんだから肉体的に強くなるのは当たり前だろう。


「最後は私ですね。私はヒメノといいます! ライクの妹です! ニイをサポートしていきたいと思いますので、よろしくお願いします!」


 ヒメノが可愛く挨拶した所で終わりだ。


「あぁ、お美しい。獣人族なのが勿体無い」


 まぁ、人族なんだけど、なんかそれは言わない方がいいような気がする。

 それに、その言葉には聞き捨てならなかったようでタイガが睨んでいる。


 たしかに獣人族にしておくのが勿体ないとは種族を軽視する発言だ。それは、俺も許してはおけない。


「おい! アストロ。獣人族を軽視する発言は止めろ。二度目はないぞ? 次は殴り飛ばす」


「おぉう。恐いですねぇ。わかりました。すみませんでした」


 両手を上げながら謝罪をするアストロ。

 コイツは我が強そうだ。なんとか制御していかないとな。


 種族間での優劣なんてないと思っている。それぞれに得意、不得意がある。容姿にもそれぞれ特徴があって当たり前だ。だから、俺が団長の間はそういう発言は無しにしたい。


「タイガも落ち着いてくれ。いきなり殴りかかったりするなよ?」


「しねぇよ。ライクに止められるのがオチだからな」


 みんなまた驚いたようにタイガを見る。

 コイツはどれだけ暴れん坊だったんだろうか。


「しかも、チーターとは厄介なのになってくれたもんだな。ライクには勝ち目が無さそうだ」


「そうか? 熊とかの方が強そうだが?」


「あぁ。奴らも相当だが、チーターはスピードがある上に筋力も相当だ。それの身体をライクが使うんだろう? 勝てねぇ勝てねぇ。それに、今はまだ闘気使えねぇんだろ? これから俺が教えるけどよ、それ使ったらもう誰も勝てねぇんじゃねぇか?」


 手をヒラヒラとさせて降参を現している。

 タイガはそんなに俺を認めてくれてるんだな。

 それに応えれるように俺も頑張んないとな。


「じゃあ、自己紹介はこの位にして、この部隊が何をする為の部隊なのかを説明するわね」


イブさんから各部族の宝玉を集める為の部隊だと言うことが告げられた。それに対して、各部族の人達は驚いたようだ。


 俺には最初、何故そこまで驚いているのか分からなかった。しかし、アストロの言葉で入手の困難さを理解する。


「イブ団長! 宝玉というと、我の国は魔王の娘が保有しておりますぞ? それを譲り受けるのは些か無理かと……」


「それを可能にするためにライクがいるのよ?」


「その……そ奴にそんなことが可能で?」


「さぁ? やって見ないと分かんないわよ? 私の息子を舐めないで」


 イブさんが威圧している。

 魔力が漏れだしてアストロはブルッと震えた。


「し、失礼しました」


 肩肘を着いて最敬礼する。


「分かればいいのよ。ライク、期待してるわよ?」


「はっ!」


 これは、また各国の任務は大変な任務になりそうだな。

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