第10話 任命式
まずは、獣人族から記憶することにしたのだ。
タイガさんに協力してもらい、バイオ情報を見させてもらう。
【種族として獣人族を記憶しました】
【種族変更時、獣人族が選択可能になりました】
これで、獣人族にはなれるぞ。
「ライクとヒメノは、早速、今夜獣人族になるように操作して。そして、明日から獣人族の国、アニマ国に潜入してもらうわ。タイガに案内してもらうから」
「「はい!」」
その夜、俺とヒメノは獣人族になるべく、バイオハッキングを決行した。
◇◆◇
朝起きるとお尻に違和感がある。
なんだ? なんかあるな。
触ってみると長い。
んん?
体を捻って尻を確認するとしっぽが生えてる。
えっ!?
一気に目が覚めた。
ベッドから起き上がり身体を確認する。
毛むくじゃらになって獣化していた。
鏡の前に立って見る。
顔は毛深く目が猫科の眼になっている。
これは……チーターか?
体を確認したところ、茶色の毛色と模様、目元の黒いラインからからチーターの獣人になったことが分かった。
魔力器官がほぼないような状態になってしまった。これでは魔法はほぼ使えない。少し考えないといけないな。
コンコンッ
ドアがノックされた。
ヒメノか? イブさんか?
「どうぞ」
「ニイ! 私なんか凄いことになってる!」
そこに現れたのはスラッとした黒猫であった。
リアル猫耳可愛いでは無いか。
「ヒメノ、似合ってるよ。凄く可愛いじゃねぇか」
「そう? ふふっ。そうかな? 猫、可愛い?」
「あぁ。ヒメノに合ってるよ」
シッポか凄くユラユラ揺れている。
これ、シッポに感情が現れてるからかなりわかりやすい感じになっちゃうな。
気をつけないと、警戒されているとバレてしまう場合もある。
シッポに慣れが必要だな。
「あぁらぁ。可愛いじゃないヒメノ! そして、ライクは豹?」
「チーターみたいですね。ただ、魔力器官がないに等しいんすよ。戦うのにこれだと心もとない」
「それに関しては大丈夫。タイガに一週間指導してもらうから。彼らはね、闘気を纏って戦うのよ?」
「それは、是非知りたい」
「えぇ。お願いしてあるから、その一週間でその体にも慣れなさい」
「「はい!」」
それから朝食に行ったのだが、今までいた食堂には獣人が居なかった気がするのだが。その事をイブさんに聞くと。
「種族間で生活スタイルが違うのよ。だからエリアが別々になっているの。混ざっているエリアもあるんだけどね。引っ越す?」
引越しを提案してくれたが、別にずっとこのままという訳でもない。それに、そのうち潜入に出るのだからこのままでも良いだろう。
「大丈夫です。ただ、皆さんが気にするかもしれないですけど……」
「それこそ心配ないわ。ライクとヒメノが獣人族に化けるのはもう言ってあるから誰も気にしないわ」
「それならいいですね」
その日はラーメンを頼んだのだが。
「アッツ! フゥーッフゥーッ」
「あははは! ライク! それが猫舌ね! どう? 熱い?」
イブさんが俺の猫舌を面白がっている。
そこに笑うのを我慢しているヒメノ。
笑うの堪えているけど、お前もだからな!
「わぁーーー! ライクくん? ヒメノちゃん? 全然違くなってる! すごーい!」
そこにやってきたのはナナさんだ。
「ねぇ、ねぇ、みんな気になってるんだけど、二人は何処の部隊に配属になるの?」
ナナさんが問い掛けてくる。
あれ?
まだ皆は聞いてなかったのか。
「む────」
「ナナ? 今日正式に辞令が出るわ。集合がかけられていたでしょ?」
「あっ、はい! そうですね! 失礼しましたー!」
ピシャリとイブさんがナナさんをシャットアウトした。あまり辞令前に言いふらすのも良くないらしい。
「さっ、あなた達も行くわよ?」
入口のだだっ広いホールに向かう。
もう人が集まり始めていた。
すごい人数と多種族である。
「あなた達はタイガの隣にヒメノ、ライクの順で並びなさい。その隣は私よ」
「「はい!」」
魔法師団が集結した。
整列を終えるといよいよ辞令が言い渡される。
副団長が司会を務めるようだ。
「団長前へお願いします!」
「うむ」
前の壇上に立つイブさん。
凛とした立ち姿が様になっている。
こう見るとやはり団長なんだなと、そう実感する。いつもは優しい顔しか見せないイブさんだが、こういう時はカッコイイ。
「辞令交付!」
副団長が宣言する。
すると団長が次々と俺達が知らない人を呼ぶ。
「次、ヒメノ!」
「はい!」
猫姿のヒメノが前に並ぶ。
周りがザワついた。
そうだろう?
俺の妹は可愛いだろう。
ふっふっふっ。
変なニヤつきをしていると。
「最後、ライク!」
「はい!」
俺も前に移動する。
周りがさらにザワついた。
なんだ?
「おい! アイツらが団長の子供達だろう?」
「あら? 小さい子供って話じゃなかった?」
「たしかに。でかいよな。しかも、獣人族?」
あぁ。そういうので驚いてたのか。
たしかにな。デカくなったもんな。
「以上、呼ばれたものを精鋭部隊! 夢現旅団に任命する!」
「「「はい!」」」
「そして、ライク!」
「はい!」
「そなたを旅団、団長に任命する!」
えっ!?
いきなり旅団の団長!?
「は、はい!」
「そなたが中心となってこれから任務を遂行する事になるだろう。頼んだぞ」
「押忍!」
こうして、俺は夢現旅団の団長に任命されたのであった。
俺で、大丈夫かぁ?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます