第8話 魔法って楽しい
「ん?」
違和感で起きた。
魔力を探ると身体の中に冷たいものが多くある。
まさか、やり過ぎた?
気づいた時には。
ゴォォォォォウゥウゥーー
魔力が溢れ出した。
やべぇ。どうすりゃいい。
「ライク!? 魔力を身体に循環させるのよ! 身体中に回すの!」
回す。
イメージできねぇ!
血液だ。
血と同じように冷たいものを流す!
ゆっくりと。
グルグルと循環させる。
段々と加速させる。
フシュュュュ
収まっていった。
ふぅぅぅぅ。
助かったぁ。
「イブさん、ありがとうございました」
「まさか、こんなに増えるとは思わなかったわ。昨日は循環を教えるまではいかなかったから」
胸を撫で下ろすイブさん。
「にい! 何事!?」
音に驚いて起きて着替えたのだろう。
慌てて洋服を来たような所が見て取れる。
「いや、すまん。魔力が暴走した。多くなりすぎたみたいだ」
「調整ミスしたの?」
「かもな。慎重にやった方がいいな。少し考えないと」
怪訝な目をされてそう言われると。
俺も少し考えてやらないとなと反省した。
頭をかきながらため息を吐く。
「まぁ、大事にならなくて良かったわね」
「そうですね。着替えて飯にします!」
「えぇ。そうしましょ」
その後は食堂で飯を食べ、昨日に引き続き魔法を使う訓練をする。
「魔力があるなら、もしかしてけっこうもう魔法使える?」
「そうですねぇ。結構やれそうです」
的に手をかざして魔力流した。
「雷撃!」
イメージしやすいように名前だけ唱える。
バチバチと音を鳴らしながら稲妻がしっそうする。
ドォォオンッ
「凄い威力ね」
「いい感じですね」
次は、雷とか。
「落雷」
天井辺りからピカッと稲妻が走り。
上から的を射る。
チュドォォォォォン
「おぉ。いいね」
「ねぇ、ライク。ホントに初めて魔法使ったの?」
「はい。楽しいっす!」
眉間に指を当ててため息をついている。
これで役に立てそうかな?
拾ってもらった恩を返さないとな。
「良いですねぇ。私にも出来ればいいのになぁ」
「ヒメノ、おいで?」
寄ってきたヒメノのバイオ情報を弄る。
属性を白雷に設定。
これで、俺と同じ属性になったはず。
「俺と同じことができると思うぞ?」
「本当!? 雷撃!」
…………ズガァァァァァンッッ
なんか、俺より威力高くない?
やっぱり魔法の出力の仕方が上手いのかなぁ。
「うん! ヒメノはやっぱり、魔力の質が濃いんだね!」
「質が濃い?」
イブさんの言葉に俺が疑問を投げかける。
少し上を向いて考えている。
なんて言えば俺が納得するか考えているのだろう。
「あーー。ギュッとなってんのよねぇ。なんて言ったらいいのか分からないけど」
「なるほど! 密度が濃いっていう意味ですね!」
「へぇ。密度っていうの? わかんないけど」
イブさんは密度という単語自体そんなに分かっていないようだ。この世界では密度っていうのはあまり使わないのだな。
なんか文明が進んでいると思うところもあるし、かと思えばあの世界より遅れていると思うような所もある。
不思議な世界だ。
「密度を高くするのを練習するかな」
「私は発動速度を速く出来るように頑張ります!」
「そうね。二人とも課題が見つかってよかったわ。危なくなにも教えることがない所だったわ……」
後半はよく聞こえなかったが。
俺達は魔法を使いまくった。
「密度を濃くするには……圧縮か?」
魔力の出力を大きくするが、規模の大きさは小さく。
それを白雷の属性を付けて。
「雷……撃」
バリバリッ……チュドォォォォォン
「おぉ。すげぇ」
「ラ、ライク? 少しやり過ぎじゃ……」
「落ちろ!」
ピカッ………………ドォォォォォォォンッッッ
クレーターができている。
あれ?
ちょっとやり過ぎちゃった?
「ライク……やり過ぎ」
「すみません。楽しくてつい……」
俺が少し反省していると。
ヒメノが少し離れたところで構えている。
ブワッと髪が少し浮き。
何やら、魔力が迸っている。
「ヒメノ、身体に力が入ってますね」
「たしかにそうね」
手をかざして魔法を唱えた。
「白雷撃」
…………バリバリッ……ドゴォォォンッッ
「はっはっはっ! 的とか関係ねぇじゃねぇか。全部吹き飛ばしちまってる」
頬を膨らましてやってきた。
何をそんなに怒っているのだろうか。
「こんなに発動から射出まで時差があっては避けられてしまいます! なんでニイはすぐ射出出来るの!?」
少し考える。
何故だろう。
「魔力のあるところから腕に管を繋げる感じでイメージしてるんだ。だからかな? 魔力の運用がスムーズなのかもな」
「むー。管ですかぁ?」
「あぁ。そうだ。やってみたらどうだ?」
「よぉしっ! やってやる!」
的を再び出してもらい。
魔法を放つ準備をしている。
手をかざして魔力を練っているようだ。
「雷撃!」
バリバリッ ダァァァァンッッ
いい感じだ。
発動から射出まで早かった。
やっぱり、あのイメージがいいのかもしれない。
「えっ!? なに!? そのイメージだけでそんなに違うの!?」
イブさんが驚いている。
「そうみたいですよ?」
「ねぇ! それ、正規の魔法師にも教えていいかしら?」
「はぁ。いいんじゃないですか? 俺も、自分のイメージを話しただけですし」
そんなこと言って、俺に指導とかお願いしてこないでくださいよ。
後日、そのイメージが魔法師団内で流行るのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます