第7話 魔法訓練
「せいっ! はぁっ!」
「甘いわよ! もっと早く攻めなさい! 隙をつくのよ!」
今はヒメノとイブさんが組手をしている。
体を大きくしてから一ヶ月。
基礎訓練をしてきた。
俺はガルドさんから二回に一回は一本取れるようになり。
ヒメノも三回に一回は一本取れるようになった。
それは、かなりの急成長なようだ。
格闘術での合同訓練に参加しても問題ないレベルとのこと。
ヒメノも今日で個人的な訓練は終わり、合同訓練に移行される。
そして、次に始まるのは魔法の指導だ。
「では、二人は私の子。魔法の基礎と応用については私が教えるわ」
「「はい!」」
俺とヒメノは魔法を教わることになった。
魔法は前の世界では無かった。
初めてのことだが、早く覚えたい気持ちはある。
「魔法には無詠唱と詠唱の方式があるわ。無詠唱は速さを詠唱は威力を求める為というのが……一般常識よ。けど、私は両方を得る事ができる方法を編み出したわ」
「そんな都合いいことがあるんですか?」
怪訝な顔をしてイブさんをみていると。
ニコリと笑って答えを放った。
「えぇ。魔力を込める量を調節するのよ」
「込める量を……?」
「まだ魔法を放ってないから分からないと思うけど、まず、無詠唱」
的に手を向けて炎の弾を射出する。
ボンッと的に命中した。
「次は、詠唱。炎よ。我の望みのままに行け! 炎弾!」
勢いよく的に飛んでいった。
そして、着弾。
ボォンッッ
ちょっと強め。
「で、これが無詠唱で強いの!」
ドガァァァァンッ
「えぇ? イブさん、それって無理やり強くしてるだけじゃないですか?」
「フッフッフッ! よくわかったわねぇ! その通りよ! でも、無詠唱ってなめてかかるやつには効果てきめんだと思わない?」
そういわれればたしかに。
でも、これって……。
「魔力量多くないともたないですよね?」
「そうねぇ。だから、魔力量多くして?」
なるほど、スキルを使ってって事だな。
ただなぁ。
「おそらくですけど、総量の最大値を変えることはできないと思います。ただ、総量を増加しやすい身体にすることは出来るかと」
「それなら、それでいいわ! じゃ、今はとりあえず、魔法を覚えましょ?」
「「はい!」」
と言っても、何を覚えれば良いのやら……。
「では、魔法とは、イメージです! 自由に考えて下さい!」
なるほど。
自由か。
俺の属性だと白雷だから……。
雷とか雷撃とか。
かなぁ。
手から電気が出るイメージで行こうか。
「ハァッ!」
何も起きない。
「聖なる光!」
天から後光のような光がさして降り注ぐ。
キラキラとなんだか身体が楽になっていく。
「はぁ!? ヒメノ、できたのかよ?」
「はい。色々と使えそうね」
「くそぉ。おれだって!」
少しやっても出てこない。
俺は魔法が使えないのか?
「ライク、イメージだけしても、魔力を放出しないと魔法打てないわよ? 今魔力感知で見てたら魔力が動いてないわ」
「んーっと、魔力は……」
「ほら、この辺にあるでしょ?」
肋骨のすぐ下。
鳩尾の辺りに手を置かれる。
「何かここで感じない?」
「んー? あんまり感じ無いですね」
「あー。少なすぎて感じないのかも。私の感知でも少しだけって感じ」
「だからか……少ない魔力。感じろ…………」
えーっと、この辺に。
おぉ。感じるかも。
この冷たいやつだ。
冷たいなら感じやすい。
そこからスーッと冷たいものを腕に出していく。
バリバリッ
電気が放出された。
だが、冷や汗が出る。
「やべぇ。これって……」
「あら。魔力切れね」
「やっぱり……うっ。キツイ」
「今日は終わりにしましょ? 仕方ないわ。後は増加してからにしましょ?」
「はい。すみません」
這うように訓練所を出る。
ヒメノが心配そうに視線を送ってくる。
「俺は大丈夫だぞ? そう、心配するな」
「にいは大丈夫でしょうけど、私は心配なのよ? いつも私を心配してくれるように……」
「ヒメノ……」
見つめ合っていると。
「ウオッホンッ! えっ? なに? 二人はそういう感じ?」
「そういう感じってなんだ?」
イブさんが目をパチパチさせながら問いただしてくる。
「私とニイは愛し合ってるんです」
「兄妹愛だな!」
俺は妹を可愛がっているのだ。
愛があって当たり前だ。
「なんか兄妹でも意味合いが違う気が……」
なんかイブさんがボソボソ言っているが。
食堂に行こう。
「飯……」
「そうね。ご飯食べて回復に務めるのがいいわ」
食堂に入るとおばちゃんに注文する。
「おばちゃん、俺、カツカレー大盛り」
少し待つと出てきたのがかなり大きい器に乗ったカツカレーだった。
「あいよ! たんとお食べ!」
「うんまそぉー! いただいます!」
ガツガツ食べる。
カツのジューシーさ。
カレーのスパイシーな感じ。
美味すぎ。
隣ではヒメノが優雅にパスタを食べている。
髪を耳にかけ上品に食べている姿はどこぞのモデルさんのようで。
おぉう。俺も見とれちまった。
「にい、今、見惚れてたの?」
「あぁ。我が妹は可愛いなと思ってな」
すると、ボンッとヒメノの顔が赤くなり湯気が上がった。いったいどうしたというのだろうか。
「ちょっと! ライク、ヒメノがショートしちゃったじゃないの!」
「俺のせいですか?」
「ったく無自覚がいちばん厄介!」
なにやらイブさんに怒られてしまった。
この日は魔力量を増加しやすい身体にして寝たのであった。
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