フルダイブVRMMOは筋肉の夢を見るか?

水城みつは

始まり

「『フルダイブVRMMOは筋肉の夢を見るか?』ってのはどうですかね?」

「却下。使い古され過ぎていて面白くもない」

わざわざ紙にプリントアウトされた原稿を見ながら言った。

「まあ、中身はそれなりに気にはなる話題だけどな」


「でしょ、現実リアルの運動能力が大きく反映された仮想現実VRの世界が、フルダイブの脳波での動作になった場合、運動能力が反映されるか、興味深いじゃないですか」

確かに、脳波も運動神経も電気信号で動作するとして、運動神経や筋肉の使い方が上手いほうが仮想世界でもスペックが高いのかは気になる。


「しかし、フルダイブの動作原理とかは結局公開されてないんですよね」

今回、ベータテストが開始されるフルダイブVRMMOは実用、市販レベルでは世界初のフルダイブ方式だ。

また、体験者によればこれまでのフルダイブとは一線を画していて、現実リアルと区別がつかないとまで言わしめている。


「ヘッドマウントディスプレイをバラした猛者がいたけど、結局わからず、訴訟問題になってるわ」

フルダイブとなり、ディスプレイはおまけであることからVRヘッドセットと呼ぶのが正しいのかもしれない。

分解動画によるとこめかみ横に左右二つついた黒いキューブか文字通りブラックボックスらしい。

おまけに、企業自体も謎が多く取材難易度が高い上に、背後に政府の影が見え隠れしている。


「異世界ファンタジーの世界で、獣人とかになると尻尾も動かせるみたいよ。

貴方、そういうの好きだったでしょ」

「ベータ募集の第二弾も外れたんっすよ、いつになったら遊べることやら」


公式PVではファンタジーならではの様々種族が動き回っている。

また、一糸乱れぬ動作で訓練している騎士団らしき映像もある。

仮想世界バーチャルの中で筋トレすることになるんですかねぇ」


現実世界リアルと区別のつかない仮想世界バーチャルでの筋肉ステータスの表現、これが新時代フルダイブVRMMOの始まりである。


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