第1話 幼馴染との再会
俺は緊張しながらも教室のドアを開ける。
「おはよう」
俺はみんなに聞こえるように挨拶をする。よかった。一部だがおはようと返してくれた。第一ステップ完了。次は第二ステップ。隣の人に挨拶をする、だ。俺は指定された席に行く。そして今回は誰が隣になるのかなと好奇心でチラッと見た瞬間、俺は絶句した。
そこにいたのは海外に行ってからメールをくれなくなった幼馴染の
「何か?」
と言ってくる。俺は彼女を見つめすぎてしまっていることに気づき、
「ご、ごめん」
と咄嗟に答える。
「用がないなら話しかけないでください」
そう柊は冷たく言い放つ。
「いやまだ話しかけてな…..」
言い終わる前に柊は俺をキッと睨みつけてくる。柊ってこんなキャラだったっけ?もっと明るくて優しい感じだったのに。まあ彼女もここ数年で変わったのだろう。これ以上話しかけたら嫌がらせとか言われて学校生活終わるナリ。俺は諦めて奥にいる陽気そうな男に話しかけてみる。
「よ、よう。俺は咲灯。咲灯 零。お前は?」
「俺?俺は
どうやらこの男は山口というらしい。元気でいいやつっぽい。
「咲灯、お前さっきあの子に話しかけてたよな」
山口は柊を見ながら言う。
「お、おう。それがどうした?」
「お前、あれはレベルが高すぎる。彼女の名前は柊 清麗。氷の天使と呼ばれている。性格はSで、話しかけても無視、しつこく聞くと会話拒否&罵詈雑言らしい。登校中にモデル事務所にスカウトされていたもんでこの学校はその話題で持ちきりだよ」
やっぱり柊だったか。そこまで人気とは。
「もうすでに三人から告白されているらしい。すべて断っているらしいが」
「へぇ。なんか理由でもあんのかね」
「俺は断るための嘘だと思っているが、彼女には彼氏がいるらしい」
やっぱり海外行った時彼氏でもできたのだろうか。俺にメール送って来なくなった理由。
「一様言っておくが、俺はあいつと友達なる気もないし、付き合うなんてもってのほかだ」
念のために俺は忠告しておく。山口はほんとかなぁ?と言いたげな表情でこちらをニヤニヤ見てくる。こいつ、いっぺん殴ってやろうか。
俺は柊の現在の情報を知れて満足した俺は席に戻る。そして担任と思われる先生が教室に入ってきて、学校の解説が終わったあと入学式があり、そのまま下校という形になった。
今日は大好きなソシャゲのスペシャルイベントがあるんだ。こうしちゃいられない。俺は荷物を持ち、外に出た。
その時体育館倉庫から声が聞こえた。気になった俺は体育館倉庫に行った。物陰に隠れながら現状を把握する。どうやら柊がチンピラ上級生に絡まれているようだった。
「柊ちゃんだっけ? いいじゃん、俺たちの部活入ってよ」
チンピラ Aが言う。部活勧誘か。だが柊は無視しているようだった。
「こいつ、無視してやがる。そこまで黙るって言うんだったら仕方がない。今ここでたっぷり楽しませてもらうぜ!」
チンピラBがベタなセリフを吐きながら柊の腕を持ち上げる。さすがにアウトだ。あまり関わりたくないが、チンピラに襲われる幼馴染ってのも胸糞悪い。
「綺麗な学校だと思ってんだが汚点も今ここにあるみたいだな。教師に報告されたくないならさっさと帰れ」
俺は物陰から出る。チンピラたちはすぐに俺の存在に気づき、なんだこの陰キャと嘲笑してくる。
「聞こえなかったのか? 教師に言われたくないのなら大人しくお家に帰りましょうね」
「はん、ボコされたくないなら先公に言うんじゃねぇぞ。てか先輩に敬語も使えないのか? 最近の一年は偉くなったモンだなぁ」
「ゴミに使う敬語なんてねぇよ。先輩にはちゃんと敬語を使っているつもりだ」
「ああん? 陰キャのくせに調子乗ってんじゃねえぞ!」
チンピラ達はキレたのか拳を上げ襲いかかってくる。遅い。チンピラ軍団が何度も何度も殴りかかってくるが、俺は全て避けていく。こう見えて筋トレを毎日してるんだよ。筋トレしたところで洞察力が上がるのかはわからんが。そして、チンピラは俺に拳が届かないと分かったのか
「ふん。ここで見逃してやる。運がいいな」
チンピラAはまたもやベタなセリフを吐く。どこまで王道なんだこいつらは。チンピラ軍団は散っていき、俺は後ろに振り向き
「大丈夫でした? それか余計なお世話でしたでしょうか」
と安全を確認する。言葉には気をつけないとな。
「あのーせめてなんか言ってくださ…」
驚いた。言い終わる前に柊に抱きつかれていた。
*下からは本編ではありませんあとがきなので興味のない人は飛ばしてどうぞ
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーあとがき
記念すべき第一話。まだ負けヒロイン出てなくね?ただのSやん。と思っている方もいるでしょう。安心してください。第二話では私が作れる盛大な負けヒロインっぷりを見れるので。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます