筋肉
三夏ふみ
筋肉
筋肉。
そう、筋肉。
あれは、筋肉。
いや、筋肉。
でも、筋肉。
そして、筋肉。
筋肉が筋肉として筋肉であるのなら。
そう、それが筋肉。
思い出すのは筋肉。
いつかの筋肉。
遠い日の筋肉。
筋肉筋肉筋肉。
ああ、筋肉が。
筋肉としての、筋肉。
それは水面に筋肉する筋肉。
ようは筋肉だ。
「筋肉なの」
筋肉は言う。
折り重なり、筋肉が筋肉に。
いや、筋肉。
そう筋肉が筋肉する。
そんな筋肉を見つめる、筋肉。
筋肉が弾ける。
眩しい筋肉。
色褪せない筋肉。
しかし、いつかは筋肉。
その結末は筋肉が、筋肉するだけ。
けして、筋肉ではない。
過ぎ去りし筋肉を、
友と呼んだ筋肉を、
筋肉。
ああ、筋肉。
戻ろう、筋肉に。
帰ろう、筋肉に。
いつだって、筋肉は待っている。
筋肉なのだから。
かつて筋肉は言った。
「私は筋肉だ」
と。
どこ、どこなの、筋肉は。
いずれ筋肉は戻る。
かつて筋肉が筋肉であったように。
そう、それはまるで筋肉みたいに。
繰り返される筋肉。
時がたち、やがて筋肉が筋肉でなくなっても、
筋肉は、筋肉だ。
実際はどうだろう、筋肉だろうか?
微動だにしない筋肉を
筋肉が呼ぶ。
「筋肉、筋肉よぉい」
あっぱれ、それが筋肉だ。
流れる筋肉の川。
筋肉から木漏れ日が漏れる。
薄化粧の筋肉。
そっと触れる、筋肉として、
筋肉であり続けるのだ。
ああ、筋肉。
筋肉、筋肉、ああ筋肉。
その一点の曇もない筋肉に、
今、称賛の筋肉を。
そう、そうだ、いや筋肉か?
今はまだ筋肉としか言えない。
移ろわないで筋肉。
枯れ果てないで筋肉。
いずれ終焉する筋肉は。
やがて筋肉として。
筋肉として……。
筋肉?
筋肉なのか?
上る筋肉のように、
唸る筋肉のように、
今再び、声高らかに筋肉。
そうだ、そうだよ、筋肉なんだ。
だれだって筋肉だ。
いつだって筋肉だ。
無限に広がり内包される筋肉。
いつだって筋肉の中に筋肉はいる。
それが筋肉の筋肉。
筋肉、ただそれだけ。
忘れはしない。
筋肉は、筋肉なのだから。
筋肉 三夏ふみ @BUNZI
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