第4話 笑顔が教えてくれたもの

ボクの家にはたくさんの

金メダルやトロフィがある

みんなボクのものだよ


ちっちゃなころから

とっても足が早かった


運動会の 徒競走は

いつも一等賞


マラソンも得意だったし

サッカーもキャプテンだった


大きくなったら

有名なサッカー選手になる

それがボクの夢だった


でもメダルもトロフィも

今は押し入れの中

だって今は見たくない・・・・・


小学二年生のとき

ケガをして足が動かないんだ


遊びに行った公園の

ゾウのすべり台から

落ちてケガしちゃったんだ


背中と腰をを強く打った

救急車で

すぐに病院に入院


神経がこわれちゃったから

治るのが難しい

お医者さんがそう言ってた


毎週リハビリしてるけど

痛いだけで動かない

だからもうリハビリしたくない


車イス使えば

学校も行けるんだけど

あんまり行きたくない


かっこ悪いし

ちゃんと動けないんだもの

だから行きたくない


今日も病院でリハビリ

ママのお金の支払い

ソファに座って待ってるの


「こんにちは」


ソファの横の車イスから

同じくらいの男の子が

ボクに声をかけてきた


その子もお母さんの支払い

待ってるところだった


すこしずつ筋肉が

動かなくなる病気なんだって

今はねボクと同じ

足が動かないんだ


でもね手は動かせるから

何でもひとりでできるんだって


直人(なおと)くんと友だちになった

だって毎週

病院で会うんだもん


直人くんはいつも元気

今は絵を描くのが

一番楽しいんだって


でもね直人くん

だんだん手が動かなくなるって

笑って言うんだ


手が動かなくなったら

口で鉛筆をくわえて

絵を描くから大丈夫だって


すごいな 直人くんって・・・・・


ボクね考えてみたんだ

だんだん体が動かなくなる

直人くんが笑ってる


たぶん辛いし怖いのに

いつも笑ってる

いつもちゃんとがんばってる


直人くんに負けないように

ボクもがんばってみる


リハビリもがんぱるよ

車イスも使うようにする

学校も行くようにする


直人くんの笑顔が

ボクに教えてくれたもの


いまボクができることを

ちゃんとがんばらなくちゃ

いけないんだよね


直人くんと二人で

車イスで散歩

それがボクの目標なんだよ

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