第3話 声が聞こえた

夜中に電話がかかってきた

おばあちゃんが入院してる

病院からだった


急いで病院に来てほしい

先生からの電話


咲(さき)は眠っていたけど

ママに起こされてパパのクルマで

病院に行ったの


おばあちゃんは ママのお母さん

やさしくてママにそっくりなの


咲のお家から

電車で五つ離れたところに

ひとりで住んでるの


おじいちゃんはもういないの

咲が生まれる前から

お空の上にいるんだって


大好きなおばあちゃん

楽しいお話をいっぱいするの

咲が大好きなハンバーグも

甘いドーナツも作ってくれる


おばあちゃん心臓が悪くて

すこし前から入院してるの


何回もお見舞いに行ったよ

おばあちゃんが好きな

大きなおはぎを一杯持って


早く元気になってほしかった

いっぱいお話をしたり

おいしいハンバーグや

ドーナツも作ってほしかった


えらい先生があぶないって

具合が急に悪くなったみたい

あぶないってどういうことなの


静かにベッドに寝てるけど

やっぱり声が聞きたくて

おばあちゃんの手をそっとにぎった


あったかいのいつもと同じだよ

やっぱり寝てるだけなんだ


静かだったお部屋のなか

おばあちゃんの身体についてる

機械がピーッと鳴った


ママが「お母さん」って

ベッドのおばあちゃんに

泣きながら声をかけたの


「ご臨終です」


先生がそっと言ったら

ママがベッドのおばあちゃんに

抱きついて泣いちゃった


咲はよくわからなくって

おばあちゃんのお顔を見てた

ほんのすこしだったけど

やさしく笑ってくれたんだよ


「おばあちゃん 寝ちゃったの」って

咲がママに聞いたら

ママは泣きながら言ったの


おばあちゃん天国に行ったの

お星さまになって

お空の上から咲のこと

いつも見守ってくれるんだって


おばあちゃん天国に行って

お星さまになったら

咲とはもう会えないんだね


天国ってどこにあるの?

天国って寒くない?

ご飯もちゃんと食べれるの?

おばあちゃんさびしくない?


頭の中がいっぱいになって

胸の奥が痛くなって

涙がポロッとこぼれちゃった


悲しくって泣き出しそうになった

咲の耳に聞こえたんだよ

天国に着いたおばあちゃんの

やさしい声が・・・・・


「咲ちゃん ありがとう」

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