第175話 初遠征


遠征先には電車とバスを使って向かう。

一応公共機関を使って場合、後でその代金は組合から支給されるらしい。

バスの代わりにタクシーという手もあるけど、高校生だしバス移動だ。


「おはよう」


電車の駅で待ち合わせて4人で目的のダンジョンへと向かう。

今回はギルドからの依頼なので向日葵は留守番だ。

結構ゴネていたのでお小遣いに5000円を渡して好きに遊んでくるように伝えると上機嫌でどこかに出かけて行った。

初めてのダンジョンに1番火力の高い向日葵がいないのは不安がないとは言えないけど、他のセイバーもいるだろうしまあ大丈夫だろう。

岸田達にも確認してみたけど、どうやら土日のどちらかで指定時間もバラバラだったので、ダンジョンで渋滞を起こさないように割り振りされているようだった。

そして今回の探索がいつもとは最も違うのは、既に書き込まれた3階層までのマップが事前に手渡されている事。

ホームダンジョンに限って言えば、マッピングは探索しながら自分でやるものだ。

それが、おそらく今日探索可能だと思われる3階層までのマップが既にある。

ある意味大名探索みたいだ。

ただ、英美里達はこの事にかなり懐疑的だ。


「絶対おかしいって。1階層だけならわかるけど3階層までのマップだよ? それに依頼理由がダンジョン内に増えたモンスターの駆除でしょ?」

「それは、言えてるかも。マップを公開してでも3階層までのモンスターを駆除して欲しいって風にも取れるよ」

「そう言うものかな」

「先輩、もしかして、先にマップ貰えて楽できるとか思ってたりは……」

「い、いや、そんなはずないだろ。もちろん俺だっておかしいとは思ってる」

「それならいいと思うんですけど。マップ公開してるって事は地元のセイバーだけじゃ手が回らなくなったって事だと思うので、油断は禁物です」

「そうだよね。増えたってどのくらい増えたのかわからないから」


低層階だけとはいえ、攻略を競っているダンジョンのマップを公開するって事はそういう事なんだろうな。

確かに3人の言っている事には説得力がある。

さすがINTが高いだけはあるな。

こうやってパーティで電車移動してるとなんとなく遠足っぽい。

ダンジョンが出現してモンスターが現れても、こうやって電車で移動できるのは日々こうやってセイバーや自衛隊の人達がモンスターを倒してダンジョンを管理してるからこそだよな。

自分もその一端を担っていると思えば、社会の役に立っている気がしてちょっとだけ誇らしく思える。


お知らせ

アニメ モブから始まる探索英雄譚がABEMAで明日7/22 (月)20時〜 1〜4話一挙無料放送です。

7/25日 ヤングチャンピオンコミックスよりモブから4発売です。

来週か再来週のどちらかの日曜日に新作投稿始めます。

現代ファンタジーです。よろしくお願いします。

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