第170話 賢者のローブ

謎は全て解けた。

これは男性にはマイナスの補正がかかり、女性にはプラスの補正がかかる魔装備なんだ!

と眠りながら答えるほど俺もバカではない。

偶然にも愚者の衣と賢者のローブ対になるような呼称。

そして、愚者の衣が俺にだけプラス補正がかかった事を鑑みてもまず間違いない。

俺は次の日、検証する為に3人に賢者のローブを身につけてもらう事にした。

まずは岡島だ。


「ちょっと小さいな」

「たぶん女性用なんだよ」

「で、どうなんだ?」

「え〜っと、おおっしっかり効果ありだ」

「VITが×1.1になってるな」

「INTはどうだ?」

「INTは変化なしだ」


これでまず女性専用装備というのはなくなった。

わかってたけど。

それとINT変化がないのは岡島のレベルが低いせいだろう。

VITの倍率も向日葵よりも低いし。

次に英美里と舞歌に試してもらう。

岡島はおまけみたいなものだったので、こちらが本命だ。


「それじゃあお願いします」

「じゃあ、私から」


英美里が賢者のローブに袖を通す。

サイズは問題なさそうだ。

あとは効果だけど。


「どう?」

「しっかりステータスに反映されてる。え〜っとVITが×1.4 INTが×1.3ね」


やっぱりか。

今までの4人の中でVITもINTも一番倍率が高い。

最後に舞歌にも試してもらう。

こちらもサイズ的にはピッタリだ。


「どうかな」

「うん、確かに効果があるみたい。VITが×1.5INTが×1.4だよ」


おおっ、さすがは舞歌。

英美里の数値を超えてきた。

いちおうこれは予測できていた事ではある。

この中で元々INTが一番高いのが舞歌だ。

この賢者のローブがINTに呼応しているのであれば当然こうなる

それにしても舞歌が身につければVITとINTがほぼ1.5倍とは中々に高性能なんじゃないか?

愚者の衣もかなりの物だと思ってたけど、それでも上昇するのはVITのみ。

しかも愚者の衣は今後レベルアップによりINTが上がるにつれVITの倍率は下がる可能性が高い。

それに対し、賢者のローブは今後のレベルアップに応じて倍率が上がる可能性が高い。

さすがは『URガチャ』といったところか。

モンスターのレアドロップより高性能だ。

問題はまた一着しかないので誰が身につけるかという事だ。

普通に考えれば、一番効果を発揮する舞歌が身につけるのがいいとは思うけど、そういう事じゃない。

前回出た指輪の時に俺は学習した。

こういう時は俺は何も言わない方がいい。

自分達で決めてもらうのが1番だと。

だから賢者のローブは向日葵を含めた3人に委ねる事にする。

それにしても、俺がマイナス補正無しに賢者のローブを身につける事ができるようになるには、今の岡島と同じINTまで上げる必要があるのか。

遠い……。


お知らせ

お待たせしている俺はこのモンスター溢れる世界をスキル『ガチャ』で生き抜くの書籍化ですが、たぶん夏頃に発売されそうです。発売されたらよろしくお願いします。

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