第163話 パンケーキ
「それはそうと御門、パンケーキの味はどう?」
「ああ、、結構おいしいよ」
「よかったら私のも味見してみる?」
「味見?」
「はい、ど〜ぞ」
そう言うと三上さんがパンケーキを切り分けて俺の口元へと運んでくれる。
これは所謂、あ〜んというやつでは……。
一瞬躊躇したものの、この状況でいただかないという選択肢は存在しないので、遠慮な口を開けていただいてみる。
「どう?」
「うん、美味しいです」
「よかった。じゃあ御門のもちょっとちょうだい?」
「英美里……」
「このくらいはいいでしょ。舞歌なんか、この前キスしてたんだから」
「ち、ちがう.あ、あれはそんなんじゃ無くて、御門くんが危ないと思って」
「わかってるって。だからこれくらいは別にいいでしょ?」
正直、三上さんが口にしている理屈がさっぱりわからないけど、こういうのを役得というのだろうか。
ただ、心情としては嬉しいよりも恥ずかしい方がまさっている。
「はい、御門」
三上さんがこちらを向いて口を開けている。
うん、これはそういう事だな。
覚悟を決めて切ったパンケーキをフォークで三上さんの口へと運ぶ。
「うん、こっちもおいしい〜」
満面の笑みを浮かべておいしそうに食べる三上さんを見てるとこっちまで嬉しくなってくるけど、やっぱり恥ずかしい。
「み、御門くん」
「はい」
「よ、よかったら……。私のも食べる?」
今度は神楽坂さんが、顔を赤らめて恥ずかしそうに声をかけてきてくれたけど、これはそういう事?
「え、え〜と、お願いします」
「う、うん」
そういうと、神楽坂さんも三上さんと同じように切り分けたパンケーキを俺の口元へと運んでくれた。
恥ずかしいそうな神楽坂さんの顔を見てしまうと、こっちも恥ずかしくなってしまう。
「どう、かな……」
「はい、すごくおいしいです」
「よかった」
うん、パンケーキはおいしい。それは間違いないけど、この状況はなんだ。
スクールセイバーとして頑張った俺に神様からのご褒美か!?
美少女2人からの“あ〜ん”
しかも放課後のパンケーキ。
これが、噂のアオハル!?
まるで学園ラブコメ、いや美少女2人ってもう学園ファンタジーのシチュエーションじゃないか!
「御門くん……私も御門くんの……」
「食べる? もちろん食べて? うん、是非」
神楽坂さんを見ると目を瞑って小さく口を開けている。
これは、あれか!
だけど、そんなに恥ずかしいならやめとけばいいのに……。
とはいえこの状況で、食べさせてあげないという選択肢はない。
覚悟を決めて、神楽坂さんの口とへとパンケーキを運ぶ。
「うん……おいしいです」
「よかったです」
なんだ。これ。
「舞歌もやるね〜。ふふふ」
三上さんが嬉しそうにこちらを見ているけど、これって本当にどういう状況!?
俺の理解が追いつかないけど、嬉しいし恥ずかしい。
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