第158話 我が人生に悔いはいっぱい
我が人生に一片の悔い無し。
いや、嘘だ。
本当は悔いだらけだ。
向日葵の笑顔の為に召喚石を使った事に満足はしているけど後悔は無いこともない。
覇王でもない一般人の俺には、やり残した事がいっぱいある。
こんな所でホブゴブリんなんかにやられてる場合じゃない。
達人でもなんでもない俺に、ギリギリで見切るなんて高等技術はないので、不恰好かもしれないけどホブゴブリンの注意をひきつけつつ全力で躱す。
ドガアァン!
ホブゴブリンの振り回す棍棒により教室の扉が吹き飛ぶ。
扉だけではなく壁にも穴が開き既に廊下の窓も何枚か割れてしまっている。
俺が逃げる事で被害が広がっていく。結構修理に時間がかかりそうだけど今はそんな事に意識を割く余裕はない。
【バーニングクロー】
「ギャギャガアア!」
周りの援護で僅かに呼吸を整える事ができているけど、致命傷には程遠い。
このホブゴブリンは耐久力も普通のホブゴブリンより高い。
倒れていた二人の意識はまだ戻って無いようだけど、傍に運ばれ神楽坂さんがついてくれているので戦闘に巻き込まれる心配は減った。
ここからだ。
逃げ一辺倒をやめ倒しにかかる。
ホブゴブリンの一撃を躱すと同時に水月を振るい首元を狙うが、後方へとスウェーしあっさりと避けられてしまう。
続け様に追撃をかけ、何度か斬りかかるがホブゴブリンの動きを捉え切る事ができず水月の刃が空を切る。
スピードがあるのはわかっていたけど、完全にこちらの攻撃速度を上回っている。
やはり、通常のホブゴブリンよりもはるかに強い。
「くそっ、くそっ、クソがあああああ〜!」
岸田の叫び声が耳に入ってくる。
俺同様に苦戦しているようだ。
無茶振りで1匹回したけど、早くフォローに入ってやらないと普通にまずい。
他のメンバーのフォローを期待したいところだけど3年生達に任せたもう一匹がどうなったのかを確認する余裕はない。
パワーでもスピードでも上回っている相手に近接で一対一はきつい。
【アイスフィスト】
氷の拳が直撃し、ホブゴブリンが弾かれる。
今のままじゃ勝つのは厳しい。
三上さんが稼いでくれた時間を使いホブゴブリンが起き上がる前にスマホをタップし対抗手段をスマホから出現させる。
「ギャアアアアア!!」
不意の一撃をくらい、完全に頭に血が昇っているのがわかる。
猛然と俺に向かい突進してきて、無茶苦茶に棍棒を振り回すしてくる。
怒りパワーによるバフがかかっているのかさっきまでよりもスピードが増し、不規則な棍棒の軌道を読むのは難しい。
この状況を長時間続けるのは無理だ。
ただ、この状況なら最大限効果を発揮してくれるはず。
俺はスマホの代わりに左手に握りしめていたそれを地面へと叩きつけた。
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