第159話 発光石


ホブゴブリンと俺の周囲が強い光に包まれる。

俺が地面に投げつけたのは、召喚石ならぬ発光石。

同じ三文字で同じ石。

召喚石は使い果たしたけど、俺にはまだ発光石が2個残っている。

この発光石、召喚石と同じレアガチャの景品だ。

同じ石なので、正直当たった時にはかなり期待した。

ただ、使ってみるとその効果は激しく光るだけ。

飯綱達を喚び出す事が出来る召喚石とはあまりに差がありすぎる。

正直何がレアなのかわからない。

使い道も当たったその時にはパッと思いつく事ができなかった。

だけど今明確に思いついた。

使うのは今だ!

こちらへと意識を集中していたホブゴブリンは、モロに光を浴びたはずだ。

はずだと言うのは、光を避けるために目を瞑っているので目の前の状況がよくわかっていないからだ。

今更だけど、この状況は結構リスキーだ。

初めてモンスター相手に使って見てわかった。

凶悪なモンスターを前にして目を瞑る。とんでもなく怖くて無防備だ。

一歩間違えると自殺行為となりかねない。

時に格上のモンスターを倒す為には、ギャンブル的な思い切った策が必要な場合がある。

今がその時!

俺より確実に強い、ホブゴブリンを倒すにはリスクを冒す必要がある。

この瞑った目の先にいるであろうモンスターが発光石の光によって視界を失っている事を願う。

まだ発光は続いている。

目を開けて確認したいという本能に抗い時間の経過を待つ。

まだだ。

長い。

とんでもなく長い。

実際にはまだ数秒しか経過していないような気もするけど体感時間だととんでもなく長い。

水月を握る手に力が入る。

こちらへの攻撃が無いのが効果があった証拠だと思いたい。

徐々に光量が少なくなってきたのを瞼越しに感じる。

いける!

俺は覚悟を決めて閉じた瞼を開く。


「うぉっ」


目の前には目をやられ、闇雲に周囲を攻撃しているホブゴブリンがいた。

完全に見えてない。

だけど、その適当に振るう一撃をもらっていたらやばかった。

俺はギャンブルに勝った。

ホブゴブリンの動きをしっかりと見定め、棍棒を振るった瞬間を狙いその腕に水月をなぞり斬り落とす。


「ガギャアアアア!」


水月の刃は、ホビゴブリンの肥大化したその腕にも有効で問題なく刃が走った。

地面にホブゴブリンの右腕と巨大な棍棒が落ち腕からは、大量の血が吹き出す。ー


「グウウオオオオオオ!!」


痛みからホブゴブリンの動きが激しさを増すが、問題ない。

視力を奪い、右腕と武器を無力化した。

あとは、焦らずしとめるだけだ。

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