第153話 岸田燃ゆ
「ホブゴブリンって言っても、ゴブリンがデカくなっただけだろ.俺の敵じゃねえ」
「岸田はホブゴブリンと戦った事はあるんだよな」
「ない」
「マジか」
「ハッ、くだらねえ。ホブだかゴブだか知らんが見てろよ『ファイアボール』」
岸田の放った火玉が右端のホブゴブリンへと飛んでいき命中する。
「ギャギャアアア」
「御門モンスターだろうが、生き物なら火をつけたら燃えんだよ。『ファイアボール』」
岸田の言っている事もあながち間違ってはいない。
ホブゴブリンは炎により確実にダメージを溜めている。
岸田の『ファイアボール』は、そのスキル名がメジャーであるだけあって対モンスターへの手段としては非常に有用だ。
ホブゴブリンは所見らしいけど、これなら問題なさそうなので俺は残りの3匹へと目を向ける。
1匹は3年生にお願いするとして残り2匹は俺たちで引き受けた方がいいだろう。
大前がホブゴブリンと戦った事あるのかは知らないけどホブゴブリン2匹なら、俺と三上さん神楽坂さんの3人で十分いける。
「三上さん、神楽坂さんサポート頼んだ」
2人にサポートをお願いしてホブゴブリンへと走る。
2匹のうちの1匹は手に槍のような武器を持っているので、そこは要注意だ。
い
「御門、俺もいるぞ。 『爆ぜる礫』」
岡島のスキルが発動し、礫がホブゴブリンへと飛んでいく。
バンッ!
炸裂音がしてホブゴブリンの顔の一部が爆ぜる。
ホブゴブリンが硬く致命傷とは至っていないものの、レベル2になったばかりでこの威力。
完全に小型の手榴弾のような性能。
ある意味、火の玉が飛んでいく『ファイアボール』の上位互換のような威力だ。
「なっ……」
結構大きな音がしたので、当然周囲からの視線を集めその視線の中には隣で戦っていた岸田のものも含まれていたようで、ステータスで引き上げられた俺の耳はその声を拾っていた。
ホブゴブリンが頑強とはいっても顔面にダメージを負えば、その動きは当然止まり俺からは意識が外れる。
ホブゴブリンとの距離を一気に詰め、水月を走らせ首を落とす。
「はやっ……」
「今度は私の番。舞歌!」
「うん」
神楽坂さんがボウガンで矢を放つ。
「ギャアアア〜」
ボウガンの矢が寸分違わずホブゴブリンの右目を撃ち抜く。
「ナイス舞歌! 『アイスフィスト』」
レベル補正のより強化された三上さんのスキルがホブゴブリンの頭を吹き飛ばす。
ホブゴブリンとは何度か戦った事があるし2人も手慣れたものだ。
神楽坂さんに渡しているボウガンも当初のものよりもランクアップしているのもあるけど、レベル補正と神楽坂さんの適正によりかなり強力になっている。
「おぃ……」
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