第152話 岸田はフラグしか立てない
「助かった」
「いえ、先輩たちだけでも大丈夫っぽかったですけど」
「なんだ? もう終わったのかよ。今日は俺の見せ場無しか。どうせなら俺用にもう何匹かきてくれてもいいんだぜ」
岸田の軽口は置いといて、場の雰囲気は軽く緊張感はあまりない。
人間の慣れとは恐ろしいもので、以前あれほど怖かったゴブリンが現れても俺たちの学校のセイバーで怖がっている者はもう誰もいない。
みんなのレベルが上がってゴブリンの危険度が下がった事と定期的に現れるゴブリンに慣れてしまった事が大きい。
もちろんゴブリンであっても気を抜けば危ない事には変わりないけど、最初の頃の緊張感はもうない。
ゴブリン以外のモンスターもたまに現れるけど、ダンジョンとは比べるべくもない。
「御門、聞いてくれよ。俺レベル2になったんだ」
「おおっ、岡島やったな。どこかで特訓したのか?」
「スクールセイバーのグループがあって、そこにちょっと参加させてもらってるんだ」
「へ〜っ、よくそんな伝手があったな」
「いや、ネットだって。エリアで検索すると結構出てくるぞ?」
「そうなのか。もしかしてそのグループでダンジョンに潜ってるのか?」
「いやいや、まだダンジョンは怖いって。ダンジョンの周辺ではぐれを見つけて狩ってるんだ」
「無理はすんなよ。妹さんが泣くぞ?」
「御門が言うか?」
岡島も頑張ってるんだな。
まあ、セイバーになっただけじゃまだ十分とは言えないし、いくらお金を貰えるとはいえ家族を守る為にはレベルアップは必須だしな。
それにしてもスクールセイバーのグループか。
まあ俺たちもそう言えない事も無いけど、あんまり知らない人たちとダンジョンに潜ったりするのは難度が上がりそうな気がする。
「おい、来たみたいだぞ」
大前は何か特殊なセンサーでも備えているんだろうか?
結構レベルが上のはずの俺よりも敵に気がつくのが早い気がする。
「はっは〜、俺のために来てくれたんだな。丸焼きにしてやるよ」
「岸田、よく見ろ」
「なんだよ御門。手を出すなよ」
「いや、そうじゃなくて、あれホブゴブリンだぞ」
「ホブゴブリン……。ま、まあ、問題ないな」
「4匹いるけど1人でやるのか?」
「はっ、たかだかホブゴブリン4匹俺の敵じゃねえ。俺は1番右のやつをやるぜ」
「ん? 残りの3匹は?」
「しょうがねえな。俺だけ活躍するのも気が引けるから、お前らにもお裾分けしてやるぜ。はっは〜」
「岸田……」
ホブゴブリンはゴブリンよりもひと回り大きく、レベル2の岡島だと厳しい相手だ。
岸田も血の気が多いのでそれなりにレベル上げはしているようでおそらくレベル5程度はあると思うけど、ホブゴブリン4匹は想定外だったらしい。
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