第150話 肉ガチャ
「やあああっ」
神楽坂さんの一撃がワイルドボアの側頭部を捉える。
前衛が1人なので数が多いとどうしても後方に抜かれてしまう。
「ナイス舞歌。とどめは私が!」
三上さんが動きの鈍ったワイルドボア相手に小太刀を振るいそのまましとめる。
「英美里、もう一匹!」
「わかってる。『アイスフィスト』 舞歌!」
「うん、今度はわたしの番!」
今度は神楽坂さんがもう一匹にとどめをさす。
強力な敵に火力不足は間違いないけど、メンバーの技量と逞しさは最初に比べて格段に上がった。
神楽坂さんもボウガンだけではなく近接用の短刀を上手く使いこなして、モンスターを倒せるようになっている。
可憐なイメージはそのままだけど、以前とは違い力強さも感じさせ心強い。
「ワイルドボア見てて思い出したけど、この前御門から猪肉もらったの、鍋にしたら結構いけたよ。ぼたん鍋って言うの?」
「うん、あれ牛肉とかとは違った美味しさがあったよね.うちも味噌鍋でいただいたよ」
「猪肉だけじゃなく先輩から鹿肉も貰いましたけど、あれもなかなかでした」
「ああ〜鹿肉もいいよね。臭みもないし、御門のくれる肉って鮮度高いし」
「うん、お店で買ってくるのと違うよ。だけど最近ちょっとお肉食べすぎてる気がするなぁ」
ワイルドボアは確かに大きな猪っぽい見た目だけど、倒してすぐに猪肉の話をできるところが逞しい。
俺的には、肉肉しいモンスターを倒した直後に肉の話は思いつかない。
こんなところも以前には無かった逞しさをみんなから感じる。
それに牛肉に豚肉は頻度が高いので、ちょっと変わり種に興味を惹かれている感がある。
「紬はまだ御門精肉店のビギナーだし全然肉いけるでしょ?」
「そうですね。でも最近肉比率が高くなってきたので、野菜は多めに摂るよう心がけてます」
三上さん、御門精肉店って何?
しかもビギナーって何?
「わたしも前より野菜の量は増えてるよ。お肉ばっかりだと栄養偏りそうだし」
「御門がくれるのって肉が多いからそれはそれでありがたいんだけど、どうせなら野菜もくれるといいよね」
「それは言えてますね。野菜もいただけると食費が助かります」
「英美里さん、それは無理だと思います。うちも肉ばっかりだし、野菜はたまにしか出ないみたいなんで」
「そっか〜、それは残念.絶対御門が出してくれる野菜も絶品だと思うんだよね」
俺だってバランスよく出せればそれがいいけど、残念ながらこの偏りは自分ではコントロールできない。
俺の『ガチャ』は基本肉ガチャの性質が強い。
お知らせ
HJ文庫モブから始まる探索英雄譚8は2/1(木)発売です。
アニメ公式HP開設しました。
よろしくお願いします。
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