第149話 マシマシ


「倒せた……」


水月の刃は亀の外皮とも相性は良かったようだ。

ただ、かなり苦戦したのは間違いない。

特に亀からのドロップがないことから、今倒した亀のモンスターはボスや特別なモンスターではなく3階層で出現する通常のモンスターだと思われる。

亀の移動速度、攻撃力がそこまででも無かったので、こちらに被害が出ることは無かったけど、今回だとパーティの火力不足だ。

5人のパーティメンバーのうち攻撃スキル持ちが2人しかいないのが地味に痛い。

今回も向日葵と三上さんのスキルが通じなかったわけではないけど、決定打を与えるには至らなかった。

スキルは俺の『ガチャ』がそうであるようにレベルアップするとその性能を増す。

ただ、それはあくまでも段階的にであり、突然跳ね上がるわけじゃない。

2人のスキルもレベル1の時に比べると格段に上がっているけど、それが攻略のペースに追いつかなくなっているのはある。

おそらく、俺達の探索エリアは3階層も中盤を越え4階層の階段が近い位置まで来ている。

それに伴い今回出現した亀のようにモンスターの強度が上がってしまっている。

まだ、いける。

俺の当てにならない肌感覚では、3階層はこのままでもいける。

だけど4階層は厳しい。

4階層まで行くには、スキルもしくは武器類のパワーアップ、もしくは攻撃スキル持ちのメンバー追加。そのどちらかが必要だと思う。

前者については可能性が無いわけではない。

『URガチャ』で神楽坂さん達に強力な武器が当たるかもしれない。

それに俺の『ガチャ』がそうであるように、みんなのスキルも急にランクアップ的な変異を見せる可能性もある。


「え〜なんにもドロップしてない〜。亀なら玉手箱的なご褒美があってもいいのに〜」

「いや、向日葵。玉手箱ってご褒美っていうより罰じゃないか? それにさっきのは海亀じゃなかったし」

「お兄ちゃん、こんなに苦労したのにご褒美欲しいでしょ? わたしだけセイバーじゃないんだからドロップくらいマシマシでほしい〜」


向日葵の気持ちもわからなくはない。

やっぱり苦戦した相手にはそれ相応の見返りが欲しくなるのは誰もが思うところだろう。

確かに、モンスターの強度により多少魔石の大きさに違いはある。

ゴブリンより3階層のモンスターが残す魔石の方が大きい。

ただしモンスターからのドロップは完全にランダム。

今の所特定のモンスターからのドロップ率が高いということはない。

当然と言えば当然だけど、俺達が望むような都合の良い仕様にはなっていない。

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