第145話 岡島の御礼?

「御門〜聞いてくれよ。セイバーとして初めての報酬で妹の茉麻にボケモンのぬいぐるみ買ったんだ。そしたらなんて言ってきたと思う?」

「え? 普通にありがとうとかじゃないのか?」

「それが、ボケモン気持ち悪いから嫌いなんだって」

「あ〜ちょっとグロテスク感はあるよな。それよりなんで欲しいもの聞かなかったんだ」

「それは、サプライズしたかったんだ。今流行りのボケモンなら鉄板だと思ったのに〜」

「岡島、流行ってんのは男子中心じゃないのか?」

「いや、あの微妙な感じが小学校の女の子の間でも大人気ってネットで見たんだ」

「それは、残念だったな」


岡島は、ステータスが生えた直後にセイバーと登録した。

初めての報酬で妹さんにプレゼントを贈ったらしいけどあえなく撃沈したらしい。

妹さんに直接聞かなかったんだ岡島が悪い。

向日葵の場合こちらが聞かなくても自分から言ってくるので、欲しいものがわからなかった事は一度もない。


「それで、セイバーになれた御礼もしたいし向日葵ちゃんの欲しいものってなに?」

「向日葵の欲しいもの?」


この違和感。

セイバーになれた御礼はわかる。

だけどなぜ向日葵?

俺もいたし、神楽坂さんも三上さんもいた。

なぜ俺の欲しいものを聞かない?

神楽坂さんと三上さんには聞いたのか?


「岡島、鬼滅の王国全巻が欲しい」

「へ〜向日葵ちゃん、結構激し目の漫画読むんだな。意外だよ」

「向日葵は読まない。俺が読みたいんだ」

「おい! なんで御門の欲しいもの言ってくれてるんだよ。御門じゃなくて向日葵ちゃんだって」

「岡島、まさかとは思うが向日葵狙ってたりするんじゃないだろうな?」

「あ、あ〜違う違う。御礼、本当にただの御礼だって」


間違いない。

以前感じた違和感の正体に完全に気づいてしまった。

岡島は向日葵を狙っている。

向日葵は中学生だぞ?

岡島は高校生……。

そこまで変ではないか。

いや、だけど友達の妹だぞ。

俺が岡島の妹を狙うようなもんだぞ。

いや、岡島の妹は小学生だし、それはちょっと違うな。


「御礼なら俺にも頼む。鬼滅の王国全巻で」

「いや、いや、いや。御門には感謝、感激、雨あられ。心から感謝の意を」

「ダメだぞ」

「なにが?」

「向日葵はダメだぞ」

「なにを言ってるんだ。だから違うって」

「あれから、時々連絡取り合ってるのは知ってたけどまさか下心ありだったとは」

「下心ってなんだよ。いくら向日葵ちゃんのお兄さんだからってそんな言い方は……」

「岡島、今の完全に確信犯だろ。俺のことをお兄さんと呼ぶのはやめろ」

「だってお兄さんはお兄さんだろ」

「いや、俺は断じてお前のお兄さんではない。そして将来もお兄さんになる事はないからな」

「そう言うなよ。御門お兄さん〜」


同級生からお兄さんと呼ばれたのは初めてだけど、強烈な違和感しかない。

向日葵はかわいいから岡島の気持ちがわからないわけじゃないけど、向日葵にそういうのはまだ早い。

しかも岡島が弟?

ない。

それは断じてない。



お知らせ

12/27(水)発売のコミック版モブから始まる探索英雄譚3の紙版でファンタジーが起こります。

紙版だけのファンタジーです。

是非手に取ってください。

よろしくお願いします。

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