第140話 動物園デート3

その後、園内でランチを済ませてから引き続き動物を見て回ったけど、一部のエリアには動物がいなかった。

檻の中の動物はある意味完全に守られて状態だったけど、柵だけのオープンスペースで飼育されていた一部はモンスターにより襲われたらしく動物がその姿を消していた。

逆にモンスターに襲われてこれだけ営業できている事がすごいとも言える。

三上さんの目当てのひとつだったトラは見る事は叶わなかったけど、かわりにミーアキャットにかわいいを連発していた。

だだ、キャットとは名前がついているだけで、どう見ても猫系ではなさそうだったけど、まあかわいいには違いない。


「御門、今日は楽しかった〜.ライオンも良かったし、レッサーパンダとミーアキャットが最高にかわいかったよね」

「そうだね。確かにかわいかったな」

「今回は、ちょっと抜け駆けだったから次は舞歌とも遊んでやってね」

「え? 神楽坂さん?」

「そう、舞歌も奥手だから、自分からは言い出せない感じだし。私にとっては舞歌も大事だし」


これは、そういう意味だよな。

自意識過剰なのかと思った時もあったけど、毎日一緒にダンジョンに潜ったりしてれば距離も近くなるしお互いが考えてる事も少しはわかるようになる。

三上さんはかなり積極的だからわかりやすいけど神楽坂さんも、なんとなく好意のようなものを感じたりはしていた。

うん、素直に嬉しい。

クラス、いや学校でも有数の可愛い子2人から好意を向けられて嬉しくないはずがない。

それは舞い上がってしまいそうになりそうな程嬉しい。

俺だって一般的な高校生男子だ。

彼女がいたらという妄想を抱いた事は一度や二度ではない。

三上さんや神楽坂さんと付き合ったらなんて考えが無かったとは言わない。

ただ、その対象が2人いる状況は考えた事もなかった。

いや、これってどういう状況?

パーティメンバーでクラスメイトで2人とも可愛い……。

まるでラノベのような展開!?

いや、いや、いや。

これって……。


「御門、顔が怖いんだけど」

「あ……」

「大丈夫、大丈夫。私も舞歌も御門の事信頼してるし」


うん、何が大丈夫なのか全くわからない。

しかもその信頼は何に対してなのかも全くわからない。

どう答えるぼが正解なのかもわからないし、気恥ずかしいというかなんとなく気まずい。

え〜っと、どうすれば……そうだ俺にはまだやらなければならない事が残っていた。


「あ〜三上さん、これ良かったら使って」

「え〜なになに?」

「ブレスレット」

「これ私に!? うそ、いいの〜」

「この前、神楽坂さんには防魔の指輪あげたから、これは三上さんにと思って」

「本当に〜? だってこの前指輪ももらったのに」

「あれはマジックアイテムじゃなかったから」

「じゃあ、これマジックアイテム?」

「URガチャで出たんだ。身護りのブレスレットって言うんだけど、一定のダメージを軽減してくれるらしい」

「そんなすごいもの貰ってもいいの?」

「もちろん。向日葵にも相談してこれは三上さんにって事になったんだ」

「向日葵ちゃんにも感謝だね。うんピッタリでいい感じ。でも初デートでこんなのプレゼントされたら普通完全に惚れちゃうよ?」

「いや……うん」


多分、初めてのデートはうまくいったと思う。プランを練った甲斐はあった。

三上さんは楽しんでくれてたと思うし、秘密兵器に用意したプレゼントの反応も思ってた以上だった。

それにしても三上さんの普通惚れてしまうの普通はどういう意味だろう。

三上さんは普通に当てはまるんだろうか。

来週からの探索ってどうすればいいんだろう。

こんな時INTの高い人は、現状分析ができて上手く立ち回る術を思いたりするのだろうか?




お知らせ

防魔の指輪等書籍版の設定に沿った内容が今後もちょこちょこ出てきます。

書き分ける余裕と能力がないので、笑って許してください。

まだまだ先ですが、書籍版をお願いします。


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