第138話 動物園デート1
動物園へと着いてからチケットを買って三上さんと入場する。
「最初は鳥ゾーンだって。あそこフラミンゴがいるよ」
「ほんとだ。フラミンゴってなんで片足立ちなんだろうね」
「足が疲れるから?」
「そうかも」
「でも片足への負担は倍になりそうだけど」
「言えてるかも」
ヤバい。
まだ動物園に入ったばかりだというのに、三上さんとどうでもいい事を話しながら見て回るのが楽しい。
俺一人で見ても絶対に湧かない感情だ。
「御門って好きな動物とかいる?」
「そうだな〜。カバとかサイとかかな」
「どっちも灰色の皮膚の厚い感じだけど、もしかしてゾウとかも好き?
「ああ、言われてみれば結構好きかも」
鳥ゾーンを歩いていると一際大きな鳥が現れた。
「ダチョウか」
「御門、このダチョウ達にエサあげれるみたい。100円だって」
「これ?」
「それっぽい」
餌やり体験的な、カップに入った餌が100円で売っていたので三上さんと2人で一個買ってみるが、思っていたのとだいぶ違う。
「ダチョウってこれ食べるのか」
「売ってるって事はそうなんじゃない」
ダチョウの餌として購入したのは、鯉の餌っぽい硬めたペレットのようなものだ。
てっきり、野菜とか鶏みたいに穀物っぽいものを食べるのかと思っていたので、意外だった。
カップから餌を取り、ダチョウに食べさせてみるがすごい勢いで啄んでいる。
「すご〜い。いくらでも食べちゃいそうだよね」
「この大きさだから餌の量も多そうだよな」
意識しすぎと言われればそれまでだけど、ひとつの紙コップから2人で餌をやるのもなんとなくデートっぽいと思ってしまう。
鳥エリアを抜けると、草食動物エリアへと続きていて、キリンやシマウマがいた。
「御門、みてみて〜大きくない?」
「ああ、頭だけで三上さんより大きいくらいだ」
「私、キリンの舌って初めて見たかも。あんな色してるんだ。ちょっとビックリかも〜」
三上さん楽しんでくれてるみたいだし、動物園でよかったかな。
「あ〜〜〜。御門! あれ! かわいいい〜!」
「あれってタヌキ? いやアライグマか」
「御門、全然違うよ。レッサーパンダだって〜」
三上さんのテンションが一段上がってる。
目の前にいるのはレッサーパンダらしい。
正直何がパンダなのかよくわからない。
記憶にあるアライグマとの違いがわからないけど、三上さんにはヒットしたらしく、しきりに「かわいい」を連呼している。
普段の冷静なお姉さんキャラの三上さんとは違った一面が見れて、俺もちょっと嬉しい。
いつもダンジョンに付き合ってもらって、日常がどこか張り詰めたところもある。三上さんのこういう姿をみるとたまにはこうやって息抜きも大事だなぁと実感してしまう。
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