第133話 突然ですが

「それじゃあ、今日はこれで引き返そう」

「ドロップは魔石1個だけって、3層のモンスター結構厳しい。洋服が買えないよ〜」

「いや、俺が渡してる分もあるし十分だろ」

「え〜乙女の今はお金じゃ買えないんだからね」

「はい、はい」


当初の予定通り第3層の様子見を終え、地上へと戻る事にした。目的は果たしたのでこれ以上はやめておこう。

その場から引き返し、2層の階段へと向かいそのまま階段を上る。

2層といえども油断は禁物だ。

少なからず3層でもスキルも使っているし、慎重に戻りつつモンスターを倒していく。


「御門、明日からどうする? 3層に移る?」

「そうだな。今日のだけじゃまだ確定じゃないけど、レベルを上げるためにも3層で探索する方がいい」

今日の探索である程度3層でやっていけそうな手応えはあった。

ミノタウロスさえ出なければ問題は無いはずだ。


「そうね.じゃあそういう事でいきましょう」

「私も頑張ります」

「頼むよ」

「わたしも置いてかれないようにするから」

「神楽坂さんを置いていくわけないから」


そのまま順調に1層へと抜け地上へと帰還し、みんなと別れ向日葵と家に帰る事にする。


「あれ? 三上さんどうかした?」

神楽坂さん達と一緒に別れたはずの三上さんが、引き返してきたのかなぜか1人こちらへとやってくる。


「御門、忘れてない?」

「え? 何を?」

「ひどくない? 私とデートしてくれる約束」


確かに、デートではないけど三上さんと出かける約束は以前した。

だけど、毎日のようにダンジョンに潜っていたせいで完全に忘れていた。


「も、もちろん忘れてないよ」

「本当に? それじゃあいつにする?」

「ダンジョンに毎日潜ってるからな〜」

「次の日曜日はオフでしょ? どう?」

「ああ、確かに」

「それじゃあ、決まり。日曜日にデートね」


三上さんの真意はわからないけど、本当にデート?

俺が三上さんと?

自慢じゃないけど向日葵以外の女の子とお出かけした記憶がない。

それがデート!?


「英美里さん、お兄ちゃん全然ダメだからお願いしますね〜」

「まかせといて。私がエスコートさせてもらうから」


いや、いや三上さんがエスコートってどういう事?

それに向日葵もなんで普通に話に入ってきてんの?


「お兄ちゃんも英美里さんに迷惑かけちゃダメなんだからね」

「なんで向日葵が……」

「じゃあ、日曜日の10時に駅前で」

「あ、うん」


そう告げると三上さんはそのまま走り去ってしまった。

駅前に10時……。


「お兄ちゃん頑張ってね」

「あ、うん」



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