第130話 3階層
前回はモンスターが現れなかったので、どんどん奥へと進んでしまった。
今日はそんな過ちは犯さない。
慎重に慎重を重ねて、第二層への階段へと駆け込める位置だけを探索する。
「あっ」
前回があれだったので、周回も覚悟していたけどあっさりとモンスターを発見してしまった。
「犬?」
「狼じゃない?」
エンカウントしたモンスターは四つ足。その風貌は大きな犬を思わせるが、三上さんの言う通り狼なのかもしれない。
その数は6匹。
結構多い。
「グルルルルルルッ」
敵もこちらを認識した。
『グラビティ』
『ゲルセニウムバイト』
初めて対する敵に向日葵と野本さんが速攻でスキルを発動し3匹の動きをその場へと留め置く。
攻撃を逃れた3匹がこちらへと向かってくる。
狼だけあって今までのモンスターよりも移動速度が速い。
スピード偏重の俺と比べても明らかに速い。
大型の狼が猛スピードで迫ってくるその様に圧倒され、後退りそうになるが踏みとどまり蝉時雨を握る手に力を込める。
『アイスフィスト』
速いのは間違いないけど、地に足をつけ駆けるよりも三上さんが発現させた宙を舞う氷の弾頭はそれを上回りカウンターで1匹の頭を跳ね飛ばす。
向かってくる1匹に狙いを定め、蝉時雨を振るう。
まだ距離があるので刃が当たる事はないが、蝉時雨の特殊能力を期待して宙を斬る。
確信はないけど、狼なら犬同様に感覚が鋭いはずだ。
それなら蝉時雨の音の効果が現れるはず。
「ギャンッ」
蝉時雨の刃を振り切ったその直後狼の一匹が声をあげてその脚を止めた。
俺は蝉時雨を手にしたまま駆け狼の首を刈り取る。
片手持ちをやめ、両手持ちにした事で明らかに威力を増した刃がモンスターを消滅へと誘う。
もう1匹。
距離はほとんどない。
襲いかかってくる狼に向け蝉時雨を振るうが、狼が刃を避ける為に後方へと跳ねる。
その瞬間、モンスターは声をあげ動きをとめる。
感覚の鋭いモンスターにとって初見殺しともいえる音の効果。
ここまでてきめんに効果を発揮したのは驚きだが狼のモンスターとは相性が抜群の様だ。
それに目には見えないので交戦中に見破られる事はまずない。
先程同様、動きを止めた狼の首を狙い刃を突き立て消滅させる。
これで2匹。
野本さん達が留めていた3匹のうち2匹は既に神楽坂さんと向日葵により倒されており、残るは1匹のみ。
最後の1匹の下へと走りとどめをさす。
「これで終わりだよな」
「うん、終わったみたい」
2度目の第3層で交戦したモンスターは確かに2層までのモンスターと比べても戦闘力高めだったとは思う。
だけど、戦いは一瞬で決着を見た。
お知らせ
HJ文庫 モブから始まる探索英雄譚7がついに明日9/29発売です。
一部の店舗は本日並ぶところもあるようです。
電子は本日24時から順次解禁です!
是非よろしくお願いします。
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