第128話 中二冒険者?
「おおあっ!」
Rガチャの景品である蝉時雨を振るいリザードマンを退ける。
影光は度重なるスケルトンとの戦いで刃が潰れ、破岩は傷んではいるけどまた使える。
ただ重すぎて常時使用には向いていないので新たな武器で戦っている。
以前はハンドスピードを優先して二刀流なんてのもやってはみたけど、やっぱり両手で武器を扱うのは難易度高く、一本でやった方が力を込め易く戦いやすい。
蝉時雨は殺傷能力は普通だけど、振るう度に奇妙な風切り音を発生させる。
使っている俺にはそれほど大きな音には聞こえないけど、敵には何らかの影響を与えるらしく振るう度に嫌がる素振りを見せるので隙をつきやすくなった。
「御門くん、調子いいみたいだね」
「うん、最初はこのマントが邪魔でちょっと動きにくい感じがしたけど、だいぶん慣れてきたみたいだ」
「お兄ちゃん、グレーのマントだよ? ちょっとヤバいよ」
「ヤバくはないだろ」
「御門、なんかファンタジーの冒険者みたい」
「三上さん冒険者って。アニメじゃないんだから」
「そう? だって普通にマント羽織ってる人見るの初めてだし。冒険者くらいじゃない? マント羽織るのって」
「まあ、否定はできない」
「でしょう〜」
「まあ、セイバーでダンジョン探索者なので、一種の冒険者といえない事はないですね。先輩ならいけると思います」
結局、パーティメンバーで愚者の衣の性能を発揮できるのは俺だけなので、俺が装備してダンジョンへと臨んでいる。
今のところ幸いにというか、愚者の衣の性能を体感するようなダメージを受ける事なく第二層を探索できている。
そもそも俺の戦闘スタイルは基本スピード重視。攻撃を受ける前に倒すを旨にしているのでそれほど直撃を受けるような事はない。
だけど、愚者の衣を纏っているというだけで精神的な安定感は増し、僅かばかりだけどモンスターと相対しても余裕が持てるようになっている気がする。
ただ普段着慣れていないマントを装備することで腕の振りと、瞬間的な移動に若干の違和感を感じていたが、それも第二層まで来てモンスターと戦うことでかなり解消してきた。
ただ1点。
みんなにも結構ツッコまれたけど、灰色のマントに蝉時雨を持つ俺。
完全に中二病患者のように見えてしまう。
これで右目に黒の眼帯でもしようものなら完全にそのものだ。
セイバーは基本今風の格好をしている人が多く、たまに鎧やプロテクターをつけている人を見るくらいでファンタジー装備の人はそれほど多くない。
マントを着用したセイバーにはまだ一度もあったことはない。
「御門くん、似合ってると思う」
「あ、ありがとう」
中二病? そんな事は問題じゃない.こうして神楽坂さんが褒めてくれる。それで十分だ。
やっぱり、神楽坂さんは天使だな。
「舞香さん、甘やかしちゃダメ」
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