第125話 該当なし

「どうかしましたか?」

「あ、なんでもありません」


低級ポーションと『ヒーリング』の重ねがけで、その効果が促進されて、骨もくっついて身体が超活性化されて一時的にステータスが上がった。

たけど、活性化しすぎてリバウンドが来てしまった。

そう考えるのが1番しっくりくる気がする。


「あともう一ついいですか? ドロップアイテムなんですけど『愚者の衣』っていうのがドロップされたんです。効果とかわかったりしますか?」

「『愚者の衣』ですか? 聞き覚えはありませんが、データベースで調べてみましょうか?」

「よろしくお願いします」


当然と言えば当然だけど、ドロップアイテムはデータベース化されているらしい。

まあ、鑑定持ちがそんなにいるわけもないし、世界がファンタジー化したとはいってもデジタルが主力なのは何も変わっていない。


「該当なしですね」

「該当なしですか」

「はい、今まで持ち込まれた事がないという意味ですので、必ずしもレアとか高性能という事ではありませんが、可能性としてはありますね」

「そうなんですか」

「一度身につけてみるのもいいのでは。今まで報告でドロップアイテムで呪われたとかというのはありませんので」

「呪いのアイテムとかではなさそうですか」

「もし心配であれば鑑定に回すこともできますよ」

「鑑定ってお金かかりますか?」

「鑑定料五万円となります。ただ現在順番待ちとなっており1ヶ月以上お持ちいただく事にはなると思います」

「1ヶ月ですか。混んでるんですね」

「1日にこなせる数が限られているのでどうしても」

「わかりました。とりあえずいいです。またよろしくお願いします」


『愚者の衣』については、すぐにわからなかったけど、低級ポーションについてはそれなりに確証を得た気がするので来た意味はあった。

事務所をあとにして家に戻ると、当然のように『愚者の衣』が家に置いてある。

神楽坂さんと三上さんが要らないというので俺が持ち帰った。

呪われたりは無さそうだし、一度羽織ってみるか。

やっぱりドロップアイテムだし、目の前に置いてあるのに試してみないという選択はないな。

これは人間の本能的な欲求な気がする。

衣を手に取ってみるが、ダンジョンでもそうであったように特に刺激もないし身体に異常もない。

手に取って大丈夫なんだから、纏っても同じようなものだろう。

衣を広げると正方形に近いような形をしているのでこのまま使うのならマント的なスタイルか。

両手で端を摘んで羽織ってみる。


「うん、特に異常はなさそうだな」

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