第114話巨人の拳
炎の刃が剥き出しとなった骨を捉えそのまま焼き切る。
「ヴォオオィイイ」
半骨半肉のモンスターは、痛みを感じるのか他のモンスターとは異なり大きなリアクションを見せたが、先程同様その声に反応するようにモンスターの足下が青く光り、そこからは大きな骨の手がこちらに向かって伸びてきた。
慌てて、剣を振るい弾き返すが、その大きさは普通の大きさではない。
巨人の腕を思わせるその骨はファイアブランドの炎でもすぐに燃え尽きることはなく、迫ってくる。
ファイアブランドを両手で強く握りしめ全力で振るが骨と交わった瞬間、今までにない強烈な力で跳ね返され腕が跳ね上がる。
「くっ、おおあああ」
跳ね上げられた腕を力技で無理矢理引き戻し、巨大な骨の次の一撃に備えるが、目の前には既に俺の身体程もある拳が迫っていて避けきれなかった。
「がはあああっ」
ファイアブランド越しにもかかわらず、押し切られ弾き飛ばされてしまった。
「御門くん! 今、助けるから『ヒーリング』 英美里、御門くんが!」
「なんなの! あれ。反則でしょ。舞歌御門について! 『アイスフィスト』」
やばい。
「ガハッ、ヒュ、ヒューヒュー」
息ができない。
これ、ミノタウロスの時同様に骨が折れたっぽい。
しかも今回はおそらく胸骨か肋骨だ。
大きく息をしようとするが痛みもあって肺にうまく空気を取り込む事ができない。
神楽坂さんが『ヒーリング』を使ってくれているのはわかるが、これはすぐに回復するようなやつじゃない。
「御門くん、これ飲んで」
神楽坂さんが俺の横へと走ってきて、見覚えのある青い液体の入った瓶を渡してくれた。
ポーション(低級)だ。
怪しい青色の液体だけど、まだ一度も使った事はない。
「ヒューヒュー」
ポーションの瓶を口へと運ぼうとするが呼吸ができないせいか手に力が入らない。
「御門くん、私が」
神楽坂さんが、手を取ってくれポーションを口へと運んでくれるが、瓶の中身が喉を通る瞬間に盛大に咽せてしまった。
「ゲホッ、ガハッ、ハッ、ハッ」
やばい。息が苦しい。ポーションが喉を通らない。
「舞歌、急いで。保たないわ」
「御門〜! くそっ、くそっ。なんでスキルがっ!」
いつまでも、あの巨大な腕骨と半肉半骨が大人しくしてくれるわけもない。
「にげっ、ガハッ」
このままだと神楽坂さんまで危ない。
神楽坂さんだけでもこの場から逃げてほしいと伝えたいのに上手く声が出ない。
「御門くん、ごめんね。もうこうするしか……」
そういうと俺の手にあったポーションの瓶を神楽坂さんが手に取った。
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