第112話 破岩
床を這いずるモンスターから目を離し奥を見ると、既に二匹目が産まれ出ていた。
さっきまでと同じ。
モンスターの発生が俺のモンスターを倒すペースを上回っているので、どうにかする必要に駆られるが放置すればその時点で終わりだ。
影光で床のモンスターの首を落とし、二匹目へと突っ込む。
このモンスターにはおそらく痛覚がない。
狙うなら機動力を奪う足か、もしくは首を落とすしかない。
今は時間が惜しい。
一撃で仕留めるべく首を狙い影光を走らせるが、反応を見せたモンスターの腕に阻まれ首へと刃が届かない。
そのまま力押しで押し込もうとするが、骨の硬い箇所に当たっているのか振り切れない。
俺が動きを止めている間にも痛みを感じないであろう目の前のモンスターは、お構いなしに残る一方の手で俺を掴もうと伸ばしてくる。
腐り腐臭を放つ腕が迫ってくる事に生理的嫌悪感を覚え、考えるより身体が反応した。
「くるなあああぁぁぁ〜」
右足で必死に蹴りを繰り出し、靴裏でモンスターを押し返す。
足裏にはグチャッという嫌な感覚が伝わってくるが、今は気にしている場合ではない。
更に右足に体重を乗せてモンスターを押し倒し、腕から抜けた影光を首へと突き立てそのまま力任せに切断する。
「はぁはぁはぁはぁ」
危なかった.あと少しであれに掴まれてしまう所だった。
まさかとは思うけど、あれに噛まれたりしたら自分がゾンビになってしまったりとかはないよな。
ゲームや映画ではデフォルトだけど……。
俺の背中を冷たいものが流れ落ちる。
それは無いにしても、腐ったようなあれに傷をつけられようものなら、なにかしらの菌やウィルスに感染する可能性は十分にある。
むしろ、子供の頃にあれに対抗できるようなワクチンを打っている可能性の方が低い気がする。
接触せずに倒すしか無い。
既に現れている三匹目へと向かうが、さっきのを反省して首狙いを諦め、無防備な足への攻撃へと切り替える。
踏み込んで影光を振おうとするが、踏み込んだ右足が滑り力が入らず中途半端な一撃になってしまい切断しきれなかった。
さっき蹴ったせいか。
咄嗟に影光を手放し、後方へと下がりながらスマホをタップし新たな武器を喚び出す。
Rガチャの景品である破岩を手にする。
破岩はその名の通り、重量級の大ぶりな剣だ。
正直スピード重視の俺とはかなり相性が微妙なので今まで使った事はなかったけど、武器を持たないこの相手なら行けるはずだ。
「おおおああああぁ!」
両手で握った破岩を振るう。
影光と比べても格段に重い。
腕だけでは今のステータスをもってしても振られるので全身を使い.大ぶり気味にフルスイングする。
「グチャ」
当たった瞬間、敵の肉が弾ける。
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