第109話 新たなスケルトン

スケルトンを相手にしているが、本当にキリがない。

地面を抉っても魔法陣が消えない以上俺たちにこれを消す手段はもうない。

ここでずっと戦い続ける事はできないので撤退しかないな。


「みんな、ここは一旦引こう」

「御門、ちょっと待て」

「岡島、残念だけど今日はこれで撤退しよう」

「いや、そうじゃない。奥だ。奥になんかいる」


俺には目の前に湧いてくるスケルトンの対応に追われて奥を確認する余裕はない。


「御門くん、確かになにかいるみたい。スケルトンとは違うような」

 

スケルトン以外のモンスターってもしかしてゴブリンか?

それなら岡島の為に1匹くらい相手にした方がいいか?


「『アイスフィスト』 いけると思ったけどダメみたい。あれゴブリンじゃないわ」


三上さんが氷の槍を飛ばすが、残念ながらしとめる事はできなかったようだ。

それにゴブリンじゃないとすれば、なんだ?

嫌な予感しかしない。


「やっぱり、逃げよう」


そう、みんなに声をかけた瞬間、魔法陣が明滅し始めた。

え? 魔法陣が壊れた?

一瞬そんな淡い期待を抱いたが、すぐにそれは間違いだと理解できた。

明滅する魔法陣からは新たなスケルトンが現れた。

しかも今まで戦っていた骨だけのスケルトンではない。

骨格の上に金属製の全身鎧を纏っている。


「なに? そいつら」


元々スケルトンの骨は硬い。

極力骨と骨の間を斬らなければ、武器の刃の方が痛む。

それが身に纏った全身鎧のせいで露出している箇所が極端に減ってしまっている。

敵は待ってくれない。戸惑っている時間も惜しいので、新しく湧いて出たスケルトンと相対する。

隙がないとはこの事だ。

胴体部分から下は全て鎧に包まれており斬れる箇所は皆無だ。

首も大部分を胴鎧に守られていて、唯一狙えそうなのは頭蓋のみ。

影光を頭蓋目掛けて振り下ろすが、手に持つ大きな銀色の盾に弾かれてしまう。

全身鎧に盾まで備えて堅すぎる。

そして右手には剣を携えこちらを攻撃してくるが、防御に振っているせいかそれほどスピードはなくキレはない。

集中さえ切らさなければ問題ない。

敵の攻撃を掻い潜り、再び頭蓋へ一撃をお見舞いしようとするがやはり盾に邪魔され上手くいかない。

モンスターを相手にしてこれほど完璧に防がれたのは初めてかもしれない。

元々技術のない俺とは相性が悪い。

おそらく中のスケルトンは先程までと大差ないが、防具を纏い使われるだけでこれほど苦戦するとは。


「ヒュッ」


唐突にスケルトンの額に矢が突き立ち、岡島の声が響く。


「御門、いまだ!」

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