第105話 岡島が斬る

『シュッ』


「なんで! これでダメなのかよ! どうやって倒したらいいんだ!」


岡島の三射目は確実にスケルトンの頭蓋を捉え、二本の矢が貫いているにもかかわらずスケルトンが消滅する気配は全くなくまだ地面を這いずっている。

岡島が悪いわけじゃない。

「やってみるか」と軽く勧めてみたけど、絶望的に手持ちの武器との相性が悪い。

俺もフォローしてやりたいけど目の前の敵で手一杯だ。


「あ〜やっぱりそれじゃあ、スケルトンは無理だって。ほら、これ貸してあげるから頭を割るか首を切断ね」

「三上さん。あ、ありがとう。これ重いな」


どうやら三上さんが剣を貸してくれるようなので、あれなら岡島でもいけるだろう。

俺は目の前に迫るスケルトンを影光で斬っていく。


「それじゃあ、いきます」

「思いきってスパッとね」

「はい」


「ガンッ」


「痛っ、堅いっ」

「あ〜ステータスない状態じゃ切断は厳しいか〜。ごめんっ、やっぱり首の骨の隙間狙って!」

「わかりました。それじゃあいきます!」

「おお〜っ、結構うまいんじゃない? ねえ舞歌」

「うん、ちゃんと消滅したし満点だよ」

「はい、ありがとうございます。お二人のおかげです」

「だから〜敬語はやめてよ〜」

「はい、わかりました」


どうやら、岡島はついにスケルトンを倒す事に成功したらしい。

それじゃあ、あとは俺が残りのスケルトンを倒せば終わりだ。


「やあああ〜!」


俺にも三上さんの声は聞こえていたので、それをなぞって首の骨を横から刈り取った。

スケルトンの武器さえ掻い潜ればこの方が確かに武器や手首への負担は少ない。


「岡島やったな」

「これ、やったって言えるのか? 本当にありがたい限りだけどほぼフルサービスだったけど」

「いいんだよ。それよりスマホ見てみろよ」

「ああ、そうだな」


岡島が思い出したようにスマホを取り出して画面を確認し始める。


「御門、ステータスが現れてたらすぐわかるものなのか?」

「ああ、タップすればすぐに表示される」

「そうか……。すまん、だめみたいだ」


ダメだったか。

岡島はスケルトンを倒してもステータスが発現する事はなかったらしい。

こればかりはやってみないとわからない運試しでしかない。

妹や家族を守りたいと言っていた岡島だが、この現実を前になんて言えばいいのかすぐには言葉が出てこない。


「二人共なにそんな深刻な顔してんの〜。まだスケルトン1匹倒しただけでしょ〜。1匹でダメなら2匹.2匹でダメなら3匹倒せばいいだけじゃない。それとも岡島っちの想いはそんなもんだったの〜?」

「岡島っち!? い、いや、三上さんのいう通りだ。まだ1匹倒しただけだ。まだまだこれからだな」

「そうだよ.岡島くん、頑張ろう」

「はい。二人共本当にありがとう。俺絶対頑張る。頑張って絶対レベルを得てみせる!」


やっぱり、三上さんは男前だし神楽坂さんは天使だ。

二人共ありがとう。

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