第103話 ファイアブランドは蔵に
「やあああああ〜」
神楽坂さんが声を上げて三上さんに迫るスケルトンへと攻撃する。
神楽坂さんに渡しているサブウェポンは椿姫。
懐刀と呼ばれる部類の短めの刀だ。
遠距離系の武器を扱う神楽坂さんがもしもの時の為に渡したレアガチャの近接武器。
扱いやすい長さと、その名前から神楽坂さんにぴったりだと思い、ガチャで当たった次の日に渡した。
椿姫。
その能力は氷結。
URガチャのファイアブランドほどの明確な力ではないが、触れた対象を僅かに凍らせる力を持つ。
「英美里、下がって」
「ゴホッ、ゴホッ。舞歌、ありがとう」
神楽坂さんは椿姫を手に持ちスケルトンの腕に向かい一閃する。
切断までは至らないが、斬れたところから徐々に凍り始める。
「私だってスケルトンくらいなら!」
すぐに腕に刺さった椿姫の刃を抜き、2の太刀をスケルトンに浴びせかける。
神楽坂さんのステータスはよく言えば万能型。
平均的に全てのステータスが上がっている。
そして彼女のレベルは7。
つまりは一階層レベルであれば全く問題なく一人でやれるステータスを持っている。
スケルトン相手に何度か椿姫の刃を振るうが椿姫の能力と合わさり、相対するスケルトンを難なく退ける事に成功した。
「英美里、大丈夫?」
「舞歌〜助かった〜」
俺は神楽坂さんがスケルトンを相手にしている間に、目の前に立ち塞がった相手を斬り伏せ、残りのモンスターもすぐさま消滅させた。
「三上さん、大丈夫!? 本当にごめん」
「御門、その武器危ないかも。もう少しで私一酸化炭素中毒になってたかも」
「謝って済む事じゃないけどごめん」
「それじゃあ、お詫びにデートしよ?」
「はい?」
「だから、お詫びにでデート。ね?」
「はい」
え!? どういう事? お詫びにデート? デートってお詫びじゃなくてご褒美じゃないのか?
「英美里?」
「舞歌もありがとうね。ちょっとくらいいいでしょ。次は舞歌でいいから〜」
「え、英美里.なにを……」
「舞歌も御門とデートしてみたいでしょ」
「それは……まぁ」
「という事だから御門」
どういう事?
「御門、お前ダンジョンで何やってるんだよ。俺は一体何を見せられてるんだ? ダンジョンってこんなところだったのか? 地獄っていうより天国?」
「いや、俺もなんだかよくわからないけど」
いずれにしても、咄嗟に神楽坂さんが前に出てくれたから事なきを得たが、本当に俺のせいで三上さんが大変な事になるところだった。
ファイアブランド。
炎を纏い、生物系のみならずスケルトンにも絶大な威力を発揮してくれたが、これはダメだ。
今後もこれを使えば事故が起きてしまう。
せっかく当たったUR武器だが、仲間に被害を及ぼす可能性が高い以上当面の間ストレージに死蔵しておくしかない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます